■2016年9月号

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バイオジャーナル

ニュース



●遺伝子組み換え作物
●理研らがRNA干渉技術を用いたGMジャガイモ開発

 理化学研究所、大阪大学、神戸大学の共同研究チームが、ソラニンなど有害アルカロイドができないGMジャガイモを開発した。RNA干渉技術を用いて、ソラニンなどのアルカロイドにかかわる遺伝子の働きを止めたもの。RNA干渉技術は、通常は一本鎖のRNAを二本鎖にすることで遺伝子の働きを止める技術で、すでに米国シンプロット社がこの技術でアクリルアミド低減ジャガイモを開発し、栽培を始めている。理研などが開発したGMジャガイモは、アルカロイドが少ないだけでなく、発芽の抑制効果もあるという。今後ゲノム編集技術を用いて、同様の開発を進めていく。〔理化学研究所 2016/7/26〕

●GM生物
●GM蚕を用いたパイロットプラント稼働へ

 GM蚕に多量の各種タンパク質を生産させる技術を開発してきた、群馬県前橋市にある免疫生物研究所がパイロットプラントを設置することになった。蚕の繊維(絹糸)は良質のタンパク質なので、これまで研究用試薬、診断薬用抗体、化粧品用コラーゲン、医薬品用タンパク質など、さまざまな付加価値のあるタンパク質を作る技術を開発してきた。その量産を目指す。〔日経バイオテク 2016/7/27〕


●GM鮭の養殖、南米で拡大

 GM鮭を開発したアクアバウンティ・テクノロジーズ社は、カナダでの受精卵生産を増強するために、7月28日、パナマの養殖場に続きブラジルとアルゼンチンでも試験養殖を開始した。〔AquaBounty 2016/7/28〕

●GM蚊放出実験の現在

 フロリダ州キーズ諸島で予定されているGM蚊の放出実験は、すでに米国食品医薬品局(FDA)は承認しているが、実施にあたっては地元の同意が必要である。今年11月に住民投票が行われるが、住民に反対意見が広がっているため、危機感を覚えたオキシテック社は、住民を説得するため現地を訪問した。〔Washington Examiner 2016/8/6〕

最初にGM蚊放出実験が行われたケイマン諸島で、オキシテック社は再び実験を行う予定だったが、裁判所が実験停止を命じた。訴えていた市民は、GM蚊の潜在的なリスクについての情報がない、と指摘している。〔Fox News 2016/7/18〕
●企業動向
●モンサント社がアルゼンチンでのGM種子生産を中止

 モンサント社は、アルゼンチンのマルビナスにあるGM種子生産プラントを閉鎖すると発表した。このプラントでは350万ha分のGMトウモロコシ種子を生産できるが、昨年は250万ha分しか生産できなかった。モンサント社は、閉鎖は農民などの反対運動によるものだと認めている。閉鎖により安心して有機農業や持続可能な農業に専念できると、農民側は歓迎している。〔Sustainable Pulse 2016/8/7〕


●ゲノム編集
●スウェーデンで、ゲノム編集樹木野外試験栽培へ

 米国・中国・スウェーデンで、ゲノム編集技術を用いて遺伝子を操作した樹木の開発が進んでいる。スウェーデンでは、ポプラの開花、成長、枝・葉・根の生産に及ぼす効果を見るための野外試験栽培を計画している。環境保護団体は、生物多様性に大きなリスクがある計画の中止を求めている。〔Test Biotech 2016/2016/8/17〕