■2016年10月号

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バイオジャーナル

ニュース



●GM汚染
●アルゼンチン産GM小麦汚染の原因は豪州なのか

 韓国がアルゼンチンから輸入した小麦にGM小麦「MON71800」が混入していた原因が明らかになった(前号2016年9月号参照)。市民団体・ストップGMOパシフィックによると、汚染はオーストラリアで起きていた可能性があるという。韓国へ小麦を輸送した船は、オーストラリアからアルゼンチンを経由していた。オーストラリアではモンサント社などによるGM小麦の開発が盛んである点を団体は指摘している。


米国で新たに見つかった未承認GM小麦「MON71700」については8月24日、厚労省が医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部長名で該当小麦の検査方法を検疫所長に通知し、これをもって農水省は9月1日米国産小麦の輸入を再開した。徹底的な原因追及をなおざりにしたまま輸入を再開すれば、ふたたび汚染発覚・輸入停止という事態が起きかねない。


●未承認食品添加物使用の植物油脂が出回る

 9月16日、穀物メジャーのカーギル社のカーギル・カナダ社が製造し、カーギル・ジャパン社と三菱商事が輸入販売している植物性原料油脂の製造工程で、違法なGM食品添加物を用いていたと、厚労省が発表した。このGM食品添加物は、製造工程で不純物の除去を目的に使われるリパーゼとホスホリパーゼ。GM微生物を用いて生産するものだが、安全審査を経ていなかった。厚労省はただちに両社に対してこの油脂の輸入販売の中止を指示した。


●奈良先端大学院大学のGMO汚染の実態判明

 奈良先端科学技術大学院大学で5月、学校内で300本近いGM植物が生えているのがみつかったが(本誌2016年6月号参照)、その詳しい実態を文科省が明らかにした。自生していたのはアブラナ科のシロイヌナズナで、植物栽培室から搬出する際に「種子が搬出容器等の外部に付着」していた可能性が高いという。根本的な原因としては、拡散防止措置の不徹底があった。


●北米事情
●シンジェンタ社がハワイから撤退か

 ハワイでは多くの開発メーカーが圃場を設け、GM作物の実験場となっている。しかし健康被害が拡大し、試験栽培停止を求める住民の声が高まり、カウアイ島、マウイ島、ハワイ島で試験栽培が禁止となったことから、モンサント社などバイテク企業は共同で無効を求め訴えている。この事態に、スイス・シンジェンタ社は約6000エーカーの事業地の売却を決め、現在買い手を求めていることが明らかになった。〔The News Tribune 2016/9/1〕

●アジア事情
●インドでモンサント社がGM綿の承認申請を取り下げ

 モンサント社がインド政府に申請していた、殺虫性と除草剤耐性を組み合わせたスタック品種のGM綿の商業栽培の承認申請を7月6日に取り下げたことが明らかになった。理由は、インド政府のGM種子規制強化に対する対抗措置だとみられる。インド政府は、GM種子の特許権使用料に上限を設けて種子価格を切り下げ、バイテク企業の技術をインド企業に共有させる方針を示している。〔Reuters 2016/8/26〕