■2017年1月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

今月の潮流●米国のGM作物栽培がもたらす健康への影響



 過去20年間で米国人の食生活は大きな変化を遂げてきたが、同時に安全性への関心も高まっている。最新のピュー・リサーチ・センターの調査によると、米国人の55%は、有機農作物は慣行農法の作物に比べて健康に良いと考えている。また39%の人が、GM食品は通常の食品に比べて健康に悪いと考えている。〔Pew Research Center 2016/12〕


とくに関心が高いのが、GM作物に使用される農薬の使用量である。農薬に耐性を持つ雑草や害虫が増え、殺虫剤や除草剤の使用量が増えている。その結果、食品中の残留農薬が増加し、食の安全や健康・病気への影響に対する懸念が強くなっている。

米国農務省が2015年に行なった、ジャガイモ、ブドウ、豆類、きのこ類などの食品中の残留農薬の調査結果が発表された。ほとんどの食品に農薬が残留していた。検査した食品は1万187検体で、そのうち85%から殺虫剤、除草剤などの農薬が検出された。2014年の調査では59%で、その増え方は異常である。農薬が検出された食品のうち、米国環境保護局(EPA)が定めた残留基準を超えている、あるいは残留基準が設定されていないものが441検体あった。〔Huffington Post 2016/11/23〕


農薬汚染の増加と病気との関係もまた、強い関心を集めている。米国の平均寿命は2014年の78.9歳から、2015年には78.8歳に低下した。低下したのは22年ぶりである。死亡原因の45%が癌と心臓病で、死亡原因トップ10のうち8つの死亡率が上昇している。〔The Washington Post 2016/12/8〕