■2017年1月号

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バイオジャーナル

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●遺伝子組み換え作物
●GMトウモロコシが腸に損傷を与える
 
 エジプト・タンタ医科大学の研究者による、モンサント社の殺虫性トウモロコシ「MON810」のラットへの投与実験で、腸への損傷が明らかになった。「Experimental and Toxicologic Pathology(実験的及び毒物学的病理学)」誌に発表された。実験では、MON810を30%含むトウモロコシと、対照群には通常のトウモロコシが与えられた。その結果、GM飼料を与えた群には粘膜線が破壊されるなどの損傷が見られた。特に影響を受けたのが十二指腸と回腸の間にある空腸で、損傷し大きく変化が見られた。原因として、Bt毒素の直接的な影響に加え、腸内細菌の減少による間接的な影響も考えられるという。〔Experimental and Toxicologic Pathology 2016/68号〕

●Bt綿栽培の土壌は細菌が大幅に減少している
 
 英国のNGOの科学者団体「Institute of Science in Society:ISIS」のメンバーEva・Sirinathsinghjiが、Bt綿が土壌細菌の生態系を攪乱していると「エコロジスト」誌に発表した。Bt綿3系統と、対照群には通常の綿で同じ品種の3系統を用い、根の細菌群を比較したところ、GM綿はそれぞれ44.4%、25.0%、51.3%細菌が減少していた。このままBt綿の栽培を続ければ、害虫への抵抗力が低下し、作物の生育に影響を及ぼすと指摘している。〔The Ecologist 2016/11/24〕


●米国環境保護局もグリホサートの発癌性は低いと評価
 
 業界の圧力に押され、米国環境保護局(EPA)のグリホサートの発癌性に関する科学諮問委員会がなかなか開催されなかったが(本誌2016年12月号参照)、2か月遅れで12月に4日間の会議が開かれた。そこでは、モンサント社代表によるプレゼンテーションをはじめ、発癌性を低いと評価した欧州食品安全庁(EFSA)の報告などがあり、最終的には「発癌性の可能性は低い」と結論づけた。〔Agri-Pulse 2016/12/16〕


●GM昆虫
●フロリダのGM蚊放出実験中止に
 
 米国フロリダ州キーズ諸島で行われる予定だった、オキシテック社が開発したGM蚊の大規模放出実験が中止になった。2016年11月に行われた住民投票でほとんどの人が反対を表明したことを受けて、米国食品医薬品局(FDA)が正式に放出断念を表明したもの。環境保護団体は、断念しなければFDAを訴える姿勢を示していた。〔Friend of the Earth 2016/12/7〕


●ゲノム編集
●ゲノム編集食品も有機として認めず
 
 米国有機基準会議は11月18日、遺伝子組み換え以外の新たな遺伝子操作で作られる食品もまた「有機」から除外することを全会一致で決定した。次世代のバイオテクノロジーである合成生物学やゲノム編集技術が、GM技術と同様に有機作物や有機食品として認証されないことになった。〔GM Watch 2016/11/22〕


●生物多様性条約締約国会議で市民が遺伝子ドライブの中止求める
 
 12月4日からメキシコのカンクンで開催された生物多様性条約第13回締約国会(COP13)で、160に及ぶ世界の市民団体が、「遺伝子ドライブ技術は国家主権、平和、食糧安全保障を脅かし、さらに生物多様性へ不可逆的で重大な脅威を与える」として、各国政府に対して、この技術の開発と自然界への放出の中止を求めた。声明には、第三世界ネットワーク、社会と環境に責任を負う欧州科学者ネットワークなど環境保護団体、消費者団体、科学者グループのほかに、国際食品労働組合連合会、農民運動団体ビア・カンペシーナ、先住民組織Tebtebba、日本からは日本消費者連盟と遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーンが参加している。〔GM Watch 2016/12/5〕


●企業動向
●バイエル&モンサント社が買収について説明
 
 モンサント社の最高技術責任者ロブ・フレイリーは、バイエル社取締役ライアン・コンドンとともに、今回の買収について、GM大豆栽培を推進してきた全米大豆基金財団(United Soybean Board)とアメリカ大豆輸出協会(U.S. Soybean Export Council、旧American Soybean Association)に説明を行なった。両社は、「今回の統合により、農家の要望に迅速に対応し、問題を解決できる」と述べた。また、市場の独占を禁じた反トラスト法に抵触する場合は、重複する部門の売却を図る」と述べた。〔AgWeb 2016/12/7〕