■2017年2月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

今月の潮流●除草剤の主成分グリホサートは肝臓病を引き起こす


 遺伝子組み換え作物栽培の主役である、除草剤ラウンドアップの主成分グリホサートの健康への影響がクローズアップされるなか、ごく微量のグリホサートが脂肪肝疾患を引き起こすという、英国の新たな動物実験結果が発表された。
この動物実験は、英国ロンドン大学キングスカレッジのマイケル・アントニオらが行なった2年間の長期実験で、人が飲む飲料水の濃度に匹敵する、4μg/kg/日というごく微量のグリホサートを摂取し続けただけで、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)になったというもの。この疾患は通常は肥満の人に見られる。症状としては、疲労、衰弱、食欲不振、吐き気、腹痛、血管への影響、黄疸、浮腫などがある。


論文は査読を経て「Scientific Reports」誌オンライン版に掲載された。研究チームは肝臓を分子レベルで検査し、重度の脂肪肝疾患、細胞の損傷・壊死などを確認している。〔Scientific Reports 2017/1/9〕
昨年、国際癌研究機関(ICRP)によってグリホサートの発癌性が示されて以来、ヨーロッパでは規制が強まっているが、今回の肝臓への影響が決定打となり、マルタ共和国では本年4月からグリホサートの販売と使用を禁止することになった。〔Times of Malta 2017/1/12〕