■2017年2月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

ニュース



●北米事情
●GMピンク・パイナップル市場流通承認

 米国食品医薬品局(FDA)は2016年12月14日、デルモンテ社が申請していたGMパイナップルの国内販売を承認した。このGMパイナップルは、タンジェリンの遺伝子を導入して、健康に良いとされる抗酸化作用を持つリコピンを増やしたもので、果肉がピンク色に変わるため、ピンク・パイナップルとして市場に出ることになる。デルモンテ社は、すでに輸入許可も得ており、海外で栽培して米国内で販売する予定である。〔ISAAA 2016/12〕

●南米事情
●アルゼンチン検察官がGM種子販売規制求める

 2016年12月1日、アルゼンチン連邦検察庁の検察官が行政裁判所に対して、人の健康に被害を及ぼす恐れがあるグリホサートを使用するGM種子の販売規制の審査を求めた。さらに予防原則に基づき、学校、人家、農地、河川、湖沼、井戸の周囲5kmでの散布禁止も求めている。〔diario judicial 2016/12/27〕
●欧州事情
●ウクライナがGMO輸出管理強化へ

 ウクライナの大豆にGM品種が含まれている可能性があるとして、昨年夏、ロシアが輸入を止めた。そのためウクライナ政府は、GM大豆が栽培されないよう、GM作物の輸出管理を強化することになった。現在同国ではGM作物は栽培できないが、GM大豆の種子を容易に入手できるため、栽培される可能性がある。〔Daily Mail 2016/12/6〕

●アフリカ事情
●ブルキナファソの綿、非GM化で増収

 モンサントのGM綿栽培に切り替え、栽培を進めてきたブルキナファソだが、綿の繊維が短くなるという質の低下が起き、収量も落ちたため、ふたたび従来品種に戻した。その結果、収量は原綿で前年の60万トンから75万トンに回復し、繊維の短縮もなくなったと同国政府農業大臣が述べた。〔Reuters 2017/1/17〕

●遺伝子組み換え作物
●Btイネの毒素が益虫に悪影響

 中国ではBtイネの違法栽培が拡大しているが、そのBtイネが益虫のクモに悪影響を及ぼすという研究結果が発表された。中国の国立自然科学財団などの支援を受け、Juan Wangらのチームが行なった研究で、「BMCバイオテクノロジー」誌に発表された。論文によると、Bt毒素の「Cry1Ab」は、イネの害虫の捕食者である、南中国に広範囲に生息するキクヅキコモリグモが脱皮する際に影響を及ぼし、発達の遅延をもたらすという。〔BMC Biotechnology 2017/1/18〕


●省庁動向
●農水省のGMナタネと大豆の実態調査

 農水省は1月10日、「平成27年度遺伝子組換え植物実態調査」を公表した。対象はナタネと大豆で、自生と交雑を調査している。ナタネは4月から6月にかけて15港を調査、14港で1215個体を採取した。そのうちGMセイヨウナタネが10港で130個体検出。大豆は7月から9月にかけて10港を調査し、鹿島、千葉、博多の3港で大豆13個体とツルマメ9個体を採取、そのうち博多港でGM大豆が1個体見つかった。

今回の調査では、志布志港からグリホサート(除草剤ラウンドアップの主成分)とグルホシネート(除草剤バスタの主成分)両方の除草剤に耐性を持つナタネが1検体見つかっている。これまでそれほど多く見つかっていなかった苫小牧港での検出率の高さが目立った。交雑に関しては、GMカラシナや在来ナタネは検出されず、ナタネの交雑種は見つかっていない。また、ツルマメが計9個体見つかっているが、GMツルマメはなく、これも交雑は起きていないとしている。