■2017年3月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

ニュース



●北米事情
●QPコード表示付で、米国でGMリンゴの流通始まる

 カナダのオカナガン社が開発した皮をむいても変色しないリンゴが米国内で収穫され、2月から米国中西部のスーパー10店舗での販売が始まった。今回は試験販売で、うまくいけば2〜3年後にはカナダでも販売する意向。このGMリンゴには、遺伝子組み換え表示としては初めて「QRコード」が用いられている。昨年7月に連邦議会で成立した「GM食品表示法」に則ったもので、コードを見ることができるスマートフォンなどを持たない多くの市民は表示内容を知ることができない。〔CBC News 2017/1/22〕


●米国で新世代GMOの規制検討へ

 米国農務省と食品医薬品局(FDA)は、GM作物に続く次世代のバイオ技術である合成生物学やゲノム編集技術について、規制を検討することになった。しかし、次世代のGM技術を規制の枠組みから外すためのものではないか、という懸念の声が研究者や市民の間から出ている。
〔STAT 2017/2/2〕


●米国でオオカバマダラ蝶が絶滅の危機に

 GM作物の拡大に伴い、米国では除草剤ラウンドアップの使用量が増加し、北米間で長距離移動をするオオカバマダラ蝶の大幅減少をもたらしてきた。米国での生息数は前年に比べて27%減で、1990年代半ばから80%も減少した。原因の一つに、越冬地メキシコで起きた冬の嵐もあるが、最大の原因は餌である植物のトウワタが、ラウンドアップ散布によって大幅に減少したことがあげられる。米国地質調査所の調査では、ロッキー山脈の東側ではオオカバマダラは絶滅の危機に瀕しているという。同研究所によると、オオカバマダラの移動が崩壊する可能性は20年以内に11〜57%と推定されている。〔Center for Food Safety 2017/2/9〕


●米国消費者のGMO離れ

 米国のレストランでGM食品離れが起きている。Pew Research Instituteの調査では、米国人の57%が遺伝子組み換え食品は安全ではないと考えており、Associated Press-Gaffの調査では、3分の2が表示を求めている。影響はレストランの食材にまで及んでいる。ワシントン州立大学カーソン・カレッジ・オブ・ビジネスのDogan Gursoyの調査によると、レストラン利用者の75%が遺伝子組み換え食品でない食事を望んでおり、そのためには13%まで食品価格の上昇を許容するという結果が出た。ある程度高くても安全なものを食べたい利用者が多かったのである。〔QSR 2017/1〕


●米化学業界がIARC批判キャンペーン開始

 米国最大の化学業界団体「米国化学工業協会(ACC)」は、世界保健機関(WHO)の専門家組織である国際癌研究機関(IARC)が昨年、除草剤ラウンドアップの主成分グリホサートを発癌物質2Aと評価したことに対して、「IARC改革キャンペーン」という形で反撃を開始した。現在の科学者による評価は透明で公平に欠けると、ACCは指摘している。対するIARCは、グリホサートの評価は、従来同様、科学的に厳密に透明化・標準化したプロセスで検討を加えたものであり、利害関係のない立場で行われている、と反論した。〔Reuters 2017/1/25〕
●中南米事情
●キューバがGM作物本格栽培へ

 キューバは今春、GM大豆とGMトウモロコシの栽培に踏み切る。これまで小規模な圃場で試験的に栽培してきたが、政府が承認し、大規模栽培が始まる予定だという。〔ISAAA 2017/1〕