■2017年3月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

ニュース



●遺伝子組み換え作物
●英国で新しいGM小麦の野外試験栽培始まる
 
 英国で今春にも、ローザムステッド研究所とエセックス大学、ランカスター大学が共同で開発した新しいGM小麦の野外試験栽培が開始される。このGM小麦は、イネ科の一年草のミナトカモジグサの遺伝子を導入して光合成の機能を強化し、収量増を図るもの。温室での試験栽培では、20〜40%の収量増だったという。今回は野外で同様の結果が得られるかどうかを見ることになる。2017年から2019年にかけてハーペンデン近郊の試験圃場で栽培する。昨年秋にすでに英国環境・食料・農村地域省(Defra)の承認を得ている。〔BBC News 2017/2/1〕


●農研機構が新しいGMイネの野外試験栽培
 
 農水省所管の農研機構(農業・食品産業技術総合研究機構)は、2017年度に新たに「シンク能改変イネ」の野外試験栽培を観音台事業所の圃場で行なう。栽培期間は2017年4月から2018年3月。シンク能とは、高い光合成能力をもたらすことで、収量増が目的である。


●EFSA、スタック品種の複合的評価を求める
 
 モンサント社が開発したスタック品種のGM大豆「Intacta」について、欧州食品安全局(EFSA)が厳しい評価をした。スタック品種は、除草剤耐性と殺虫性の複数の性質を付与したものだが、それぞれの性質については評価しているが、複合的な影響による評価がされていないことを批判した。それぞれの評価を合わせただけでは不十分だという指摘である。現在日本でもそれぞれの評価を合わせた形で評価しており、EFSAの指摘のような評価は行われていない。〔Environmental Sciences Europe 2017/1/11〕


●グリホサートに環境ホルモンの疑い
 
 英国で行われたグリホサートを用いた動物実験で脂肪肝疾患が引き起こされることが判明したが(本誌2017年2月号参照)、その実験結果について、ホルモンへの影響が指摘された。仏カーン大学による動物実験などで、グリホサートが環境ホルモン(内分泌かく乱物質)の疑いがあることは、以前から指摘されてきた。今回の肝臓への影響について米国環境保護局の科学者レイモン・シドラーは、内分泌かく乱が原因として疑われる、と指摘しており、改めて環境ホルモンとしての毒性に注目が集まっている。〔GM Watch 2017/2/3〕

●省庁動向

●農水省が主要農作物種子法廃止へ
 
 農水省は、1952年に食料確保を目的に制定された「主要農作物種子法」の廃止法案を今国会に提出する。主要農作物種子法は、日本人の基礎食料である米・麦・大豆の3穀物について、都道府県が開発した優れた品種を奨励し、予算をつけて普及する役割を果たしてきた。しかし、民間企業の参入を阻むものであるとして、この間、廃止圧力が加えられていた。TPP参加をにらみ、安倍内閣が発足させた規制改革推進会議は、「同法は民間企業の意欲をそぐ」と批判してきた。

農水省は、主要農作物種子法に代わる法律として、民間企業の参入を促す「農業競争力強化支援法案」を提出予定である。これまで自治体が担ってきた新品種開発と普及が失われ、民間企業の参入が進めば、モンサント社など多国籍種子企業が日本の種子市場を席巻することになりかねない。〔日本農業新聞 2017/2/2〕