■2017年4月号

今月の潮流
News
News2


今号の目次へ戻る
ジャーナル目次へ戻る






























バイオジャーナル

ニュース



●遺伝子組み換え作物
●モンサントの新技術は効果が薄い
 
 「サイエンティフィック・アメリカン」誌によると、RNA干渉技術を用いた、モンサント社の新しい根切り虫対策のGM作物は短期間しか効かない、という。昆虫学者のジョセフ・スペンサーは、根切り虫対策は多様性の確保と自然循環で行なうのが有効だと指摘している。また、米国消費者団体の食品安全センターは、中国で行われたRNA干渉技術で開発した作物を用いた動物実験で、肝臓にRNA断片が見つかった例を引用して、人や動物に影響を及ぼす可能性があると指摘した。〔GM Watch 2017/3/8〕

●農薬の曝露の順番により影響が甚大に
 
 英国ヨーク大学の研究者が、遺伝子組み換え作物の拡大に伴い農薬の使用量が増え続けているが、そのような有害物質の影響を評価する際、曝露の順番により野生生物への影響が異なることを明らかにした。二つの有害物質に曝された野生生物は、その曝露の順番が異なると、影響も異なるという。その最大の理由として、最初の曝露の回復に時間がかかると次の有害物質に曝露されたとき「キャリーオーバー毒性」が生じるためという。〔University of York 2017/2/21〕


●GMO企業の研究者がスーパー雑草の問題点を認める
 
 スイス・シンジェンタ社の農業経済学者ダレル・ダニエルズは、ウィスコンシン州カルメット郡牧畜協議会の年次総会で、「除草剤に耐性を持つスーパー雑草の拡大がコスト増をもたらし、収量減少をもたらしている」と発言した。これまで多くの研究者により指摘されていることだが、GMO開発企業の内部から指摘されたことはない。〔Wisconsin State Farmer 2017/2/19〕

●省庁動向
●シンプロット社のGMジャガイモの審査始まる
 
 食品安全委員会は3月15日、米国シンプロット社が開発したGMジャガイモを安全と評価、一般からの意見(パブリックコメント)募集を開始した。このジャガイモはRNAi(RNA干渉)で開発したもので、加熱の際に生じる発癌物質アクリルアミドを低減させる。RNAiは、dsRNA(二重らせんRNA)を用いて、遺伝子の働きを止める技術。米国では人工的なRNA干渉が、標的害虫以外の益虫や動物に害を及ぼしたり、繁殖に必要な遺伝子を抑制するなど予期せぬ危険性が指摘され、食品の安全性にも影響があるという疑問が出され、承認が遅れた。

●補足議定書批准へ向け、カルタヘナ法改正へ
 
 2月28日、カルタヘナ法改正案が閣議決定され、国会に提出された。改正法は2010年名古屋開催のカルタヘナ議定書締約国会議で合意した「名古屋・クアラルンプール補足議定書」の批准に向けたもの。補足議定書では、GMOなど生命操作生物が生物多様性に損害を生じさせた際に、その修復等を求めている。そのため改正法案では、生物多様性に起きた損害の回復を環境大臣が命じることができるという項目と、それに伴う罰則が追加された。


●英農水省がトウモロコシの自生調査結果を発表
 
 農水省は3月22日、2015年度「トウモロコシ生育等実態調査」を発表した。この調査は、GMトウモロコシがもたらす生物多様性影響評価に活用するためのものである。7港と飼料工場への3輸送経路を調査し、その結果、6港(130地点)でトウモロコシの実のこぼれ落ちが見つかり、1港で生育が確認された。3つの輸送経路はすべてでこぼれ落ちが見つかっている。これらがGMOかどうかの分析は行われていない。