■2017年5月号

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バイオジャーナル

ニュース



●GM汚染
●インドで未承認綿の汚染発覚
 
 インドで未承認GM綿による非GM綿汚染が明らかになった。市民団体がアンドラプラデーシュ州、テランガナ州、マハラシュトラ州、オーディシャー州、グジャラート州の綿農家からサンプルの提供を受け、セントラル・コットン・リサーチ・センターで検査したところ、汚染が発覚した。インドでは未承認のモンサント社の除草剤耐性と殺虫性を併せ持つ品種だった。〔Bangalore Mirror 2017/4/7〕

●バイオ燃料用GMトウモロコシ汚染の被害実態
 
 シンジェンタ社が開発したバイオ燃料用GMトウモロコシ「Enogen」の非GMホワイトコーン汚染の被害状況が明らかになった。ネブラスカ州の農家は汚染により、本来食用のトウモロコシ2万5000ブッシェルをエタノール用に販売しなければならなくなった。そのほかのホワイトコーン栽培農家も損害を被っている。〔Agri Market 2017/4/7〕
●ゲノム編集技術
●新しいバイオ技術はGMO規制の対象
 
 ドイツの環境大臣バーバラ・ヘンドリクスは、市民団体テストバイオテクの質問に答え、「ゲノム編集技術や合成生物学の産物をGMOとみなす」と表明した。この見解は、EUにおける既存のGMO規制に基づき、リスクアセスメントが義務付けられるとの見方を示したものである。〔GM Watch 2017/4/10〕

●ゲノム編集技術で中国が稲開発
 
 中国農業科学院のYong wei Sunらが、ゲノム編集技術を用いて、健康に良いとされる澱粉糖のアミロースを増やす稲の開発を進めている。〔ISAAA 2017/3〕

●省庁動向
●消費者庁、加工食品の原産地表示案とGM食品表示の見直し
 
 消費者庁は3月27日、加工食品の原料原産地表示案への一般からの意見募集を始めた。表示案では、加工食品の中で最も重量を占める原材料のみ原産国を表示する。表示対象の原料の原産地が2カ国以上の場合は重い順番に表示する。多くの例外規定があり、消費者に必要な表示になるのか懸念があるが、それでもこの表示案への食品業界の反対は強く、多数の反対意見提出に動いている。特に強く反対しているのが食用油業界である。たとえば、現在の表示法では油はGM食品表示の対象外だが、作付け状況から、ナタネ油の原産地がカナダであれば、ほぼGMナタネであるし、コーン油やサラダ油、大豆油の原産地が米国であれば、これもまたGM作物とわかるからであろう。

消費者庁は4月18日、加工食品の原料原産地表示に続いてGM食品表示の見直しに入り、26日に第1回検討会を開催すると発表した。GM食品表示制度に関しては、業界団体の抵抗がさらに強まると予想される。
●企業動向
●米欧で中国国営企業のシンジェンタ買収を認める
 
 中国国営企業の中国化工集団公司(Chem China)によるスイス・シンジェンタ社の買収を米国とEUの規制局が相次いで承認した。4月4日、米国連邦取引委員会は承認の条件として、中国化工集団公司の子会社であるイスラエルのアダマ社の3種類の農薬について、米国市場からの撤退を求め、中国企業も了解した。昨年8月には財務省の対米外国投資委員会が買収を承認している。
欧州委員会は5日、アダマ社の農薬事業などの売却を条件に、買収を承認した。アダマ社は世界最大のジェネリック農薬企業で、2011年に中国化工集団公司が株式を取得し、傘下に収めた。〔Reuters 2017/4/5〕