■2017年6月号

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バイオジャーナル

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●アジア事情
●インドでGMマスタード商業栽培承認へ
 
 インドの遺伝子組み換え作物規制機関のGEAC(遺伝子工学規制委員会)が5月11日、食用GM作物としては初めてとなるGMマスタードの商業栽培を承認した。このマスタードはデリー大学が開発したもので、GEACの承認を受けて環境大臣が正式に認可するかどうかが注目される。〔Times of India 2017/5/12〕
●遺伝子組み換え作物
●エピゲノミック改変ジャガイモ野外試験へ
 
 4月20日、農水省所管の農研機構(農業・食品産業技術総合研究機構)と弘前大学が共同で記者会見を開き、弘前大学農業生命科学部が開発したエピゲノミック改変ジャガイモの野外栽培試験を始めると発表した。試験は生物多様性影響評価を目的としている。このジャガイモは、以前はエピゲノム編集ジャガイモと言っていたもので、RNA干渉法を用い、DNAのメチル化(不活化)を行うことで遺伝子の働きを止めている。

RNA干渉法を用いたジャガイモとしては、すでにJ.R.シンプロット社が開発したアクリルアミドと打撲黒斑低減ジャガイモが米国で栽培されているが、これはメッセンジャーRNAを壊すことで遺伝子の働きを止めている。

弘前大学の方は、DNAやRNAの働きはそのままで、エピジェネティクスへ働きかけ、インベルターゼ遺伝子とCBSSI遺伝子の働きを無効にしている。インベルターゼ遺伝子を無効にすると、ポテトチップを製造する際の焦げを抑制でき、CBSSI遺伝子を無効にすると、アミロースでんぷんを低減させることができるとされる。アミロースでんぷんの低減により、粘り気が増しモチモチ感が増すという。
●GM花卉
●GMペチュニア、世界で流通
 
 フィンランドでGMペチュニアが見つかり、世界中に拡散していることが明らかになった。GMペチュニアを見つけたのはフィンランド食品局で、自然界にはないオレンジ色をしていたことから判明した。研究者は、トウモロコシの遺伝子を導入したと考えている。このGMペチュニアは、ドイツとオランダからフィンランドへ輸出されたもので、イギリスや日本でも見つかった。誰が開発し、どこで栽培され輸出したのか、いまだわかっていない。

フィンランド食品局の報告を受けて日本の農水省が調査したところ、タキイ種苗が販売していたF1オレンジクイーンという品種がそれに当たることが判明した。それ以外にも、F1ディーバマンゴウ、F1ディーバレッド、F1ディーバディープパープルの3種類がGMペチュニアと判明し、農水省は回収と廃棄を命じた。国内のペチュニア市場は約16億円で、この4商品の国内での販売量は2016年5月から2017年4月までで約60万粒だという。〔Horticulture Week 2017/5/5〕