■2003年4月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

今月の潮流●インドのBt綿収量をめぐり評価分かれる


  昨年、インドで初めて遺伝子組み換え作物(Bt綿)が作付けされた。そのBt綿をめぐって、収量が増加したという報告が出る一方で、減少したという報告も出て、評価が分かれている。
 『サイエンス』誌2月7日号に掲載された米カリフォルニア大学バークレー校のデビット・ジルバーマンと独ボン大学のマーティン・カイムの論文では、2001年にインドで行った実験で、収量が従来品種の1.8倍に達し、農薬使用量が70%減少したと報告した。

 モンサント社の種子を販売するマヒコ・モンサント・バイオテック社も、2002年のインドにおけるBt綿は収量増をもたらし、従来種の4倍という高価な種子代を支払っても農家の収入は増加した、と発表した。
 英国レディング大学のステファン・モーズは、この結果を評価しつつも、害虫が多いトウモロコシなど、他の作物では綿と同様の恩恵は受けられないだろうと指摘している。
 他方、ニューデリーにある科学・技術・生態研究財団のアスファル・ジャフリは、2002年に現地調査を行い、Bt綿の収量は従来種を下回っており、害虫被害も多いとしている。インドでは、Bt綿をめぐる安全性などの論争がつづいてきたが、収量をめぐっても評価は二分された状態にある。
〔ネイチャー・バイオニュース2003/2/20ほか〕
ことば
*Bt綿
 枯草菌の一種バチルス・チューリンゲンシス(Bt)の作る毒素の遺伝子を組み込んだ綿のこと。蛾の幼虫が食べると、毒素の効果により死に至る。