■2017年10月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

ニュース



●北米事情
●カナダが第2世代RNA干渉ジャガイモ承認

 カナダ保健省と食品検査局は、第2世代のRNA干渉ジャガイモの輸入・栽培および流通を承認した。このGMジャガイモは、第1世代と同様、米国のJRシンプロット社が開発し、米国ではすでに承認している。カナダでは、昨年第1世代を承認している。第2世代は、第1世代の打撲黒斑低減、発癌物質アクリルアミド低減の性質に加え、病気への抵抗性を付与している。〔ISAAA 2017/8〕



●欧州事情
●ECがバイエルによるモンサント買収の調査開始

 EUの独占禁止規制当局・欧州委員会(EC)は8月22日、独バイエル社による米モンサント社の買収に関する調査を開始した。規制局のマルグレーテ・ベステイガー(Margrethe Vestager)によると、この買収に反対する5万件以上のメール、5千以上のはがきや手紙を受け取っている。規制局は今春、ダウ・ケミカル社とデュポン社の合併、中国化工集団公司によるスイス・シンジェンタ社買収を承認した。〔New York Times 2017/8/22〕


●EU、グリホサート再承認の判断を年末に延期

 欧州委員会は除草剤グリホサート再承認に関して、当初予定していた10月上旬の投票をあきらめ、期限ぎりぎりの年末への延期を決定した。グリホサート再承認問題は、昨年10年間の期限を迎えたが決着がつかず、18か月間延長している。そんななかフランス政府は、再承認に反対する意向を表明した。
グリホサートをめぐっては、2015年に国際癌研究機関(IARC)が発癌物質と認定したことから動きが活発になった。2017年7月7日にはカリフォルニア州環境健康災害評価局(OEHHA)が発癌物質と認定、州の危険物質のリストに加えた。リスト登録無効を訴えてモンサント社が提訴していたが、却下された。
欧州でのグリホサート再評価で最も重要な役割を果たすのが欧州食品安全庁(EFSA)であるが、そのEFSAが安全と評価した根拠の4300ページに及ぶ報告書について疑惑が浮上している。この報告書はドイツの連邦リスク評価研究所が作成したものだが、モンサント社など農薬企業が作ったグリホサート・タスク・フォースが書いた報告にいくらかコメントが加えられたものに過ぎないという。〔The Guardian 2017/9/15〕



●アフリカ事情
●モンサント社がマラウイの種子政策に介入

 モンサント社の関係者がマラウイの種子政策に関わり、農民の自家採種や保存を禁止するよう変更していたことが明らかになった。この政策により種子(Seed)と認定されるのは、モンサント社など種子企業の提供するものだけになり、農家が自家採種した種子は穀粒(Grain)と呼ぶことになる。現在マラウイにおける種子の約80%は自家採種されたものである。〔Food Tank 2017/8/23〕


●アジア事情
●韓国でGM作物試験栽培中止に

 韓国政府農村振興庁(RDA)と全羅北道の市民団体は、政府が進めるGM作物試験栽培を中止することで合意した。これまで韓国では稲、唐辛子、小麦の試験栽培が行われている。この間、市民団体によるデモや、作物試験場前で130日間にわたる座り込みが継続されており、それが中止の力になったと見られる。今後、RDAと市民団体がそれぞれ10名ずつ参加して農業生命委員会が設立される。〔ハンギョレ新聞 2017/9/3〕