■2017年12月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

ニュース



●欧州事情
●フランスがグルホシネートも承認取り消し

フランス環境労働衛生安全庁(ANSES)は、グリホサートに次いで、同じ有機リン系除草剤のグルホシネートの承認を取り消した。グルホシネートは独バイエル社の除草剤バスタの主成分で、グリホサートに次いでGM作物に多く用いられている。〔Reuters 2017/10/26〕


●EUのGM作物栽培は風前の灯火

昨年までEUではGM作物を4カ国が栽培していた。しかし、2017年にはチェコとスロバキアが栽培をやめ、2カ国となった。残るポルトガルの栽培面積も大幅に減少したため、EU全体のGM作物栽培面積は13万6338haから13万571haへと減少した。減少幅が小さいのは、最大の栽培国スペインの栽培面積に変化がなかったことによる。EUで栽培しているのはモンサント社の殺虫性トウモロコシ「MON810」のみである。スペインではアラゴン州で最も栽培している。〔inf’OGM 2017/11/7〕


●北米事情
●アーカンソー州がジカンバ使用禁止に、政府も制約へ

米国アーカンソー州政府は、来年の4月16日から10月31日の間、州内でのジカンバ使用禁止を正式に決定した。ただし、牧草地や家庭用などでの使用は例外となっている。また連邦政府も環境保護庁(EPA)が、ジカンバを製造している農薬メーカーのモンサント、BASF、デュポン社との間で協定を結び「使用制限」の表示を行うことになった。それによると、2018年からジカンバを使用する場合、風速、散布方法、タンク清掃などに規制が設けられ、農家もその遵守の記録が求められる。

ジカンバは以前から使用されてきた除草剤であるが、問題が顕在化したのはジカンバ耐性のGM作物が登場した今年からである。今年、ジカンバによる被害を受けた大豆は25州360万エーカー(約150万ヘクタール)以上になり、全米で栽培された大豆の約4%に達した。大豆以外にはトマト、スイカ、メロン、ブドウ、カボチャ、有機野菜、住宅の庭や樹木などが被害を受けている。

米国立癌研究所は、ジカンバを使用している農家に結腸癌や肺癌のリスクが高くなる可能性を指摘している。動物実験では、悪性リンパ腫や甲状腺癌の頻度が高かった。このリスクは子どもに大きいことも明らかになっている。〔The Associated Press 2017/11/8ほか〕


●米政権がバイオ規制見直しに待った

米国のトランプ政権が、バイオテクノロジーの規制見直しに待ったをかけた。農務省がゲノム編集などの新しいバイオテクノロジーへの規制を検討し始めたが、それを撤回させたのである。ソニー・パデュー農務長官によると、規制がイノベーションの制約にならないようにバランスを見て、他のアプローチを検討するという。〔Science 2017/11/6〕


●アジア事情
●インドでGM大豆の違法栽培見つかる

インドのグジャラート州アラベケ地区で、インドで承認されていないモンサント社のラウンドアップ耐性大豆の栽培が見つかった。グジャラート州はインドにおける大豆の産地で、影響が懸念される。インドは一大GM綿の産地だが、まだ食用のGM作物は認められていない。現在州政府によって種子提供者の特定が進められている。〔Times of India 2017/11/8〕