■2017年12月号

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バイオジャーナル

ニュース



●遺伝子操作作物
●ゲノム編集稲、収穫される
 
 茨城県つくば市にある農業・食品産業技術総合研究機構は10月31日、ゲノム編集技術で開発した稲を収穫した。今年は6品種を水田10アールに植えた。この稲は「シンク能改変稲」と名付けられ、通常の稲より収量を増やすことを目的に開発された。花芽の分裂を促進する植物ホルモンを分解する酵素遺伝子を破壊することで、植物ホルモンが増加して花芽を増やし、籾数を増やして収量を増やすというものである。今回の栽培目的は、実際に収量が増えるかどうかを見るものであった。

●グリホサートの深刻な人への曝露
 
 米カリフォルニア大学サンディエゴ校医学部の研究者の調査で、グリホサートの人体への汚染は深刻な状況であることが判明した。グリホサートを主成分とする除草剤ラウンドアップは、米国では群を抜いて使用されている。米国医学会誌(JAMA)に発表した研究報告によると、グリホサートの人への曝露は、GM作物導入以降5倍に増加した。高齢者の尿からの検出濃度は、12%(1993-96年)、30%(1999-2000年)、70%(2014-16年)で、1993-96年に比べて2014-16年は平均検出濃度が2倍になっている。もはや監視と規制、グリホサートの公衆衛生上の対策が必要である、と『環境健康ニュース』は指摘した。〔Environmental Health News 2017/10/30〕


●マウス実験でグリホサートが歩行などに影響
 
 グリホサートがどのように行動に影響をもたらすのか、アルゼンチンのC.J.Baierらがマウスを用いた実験を行なった。実験結果は『神経毒性と奇形学』に掲載された。マウス鼻腔内に微量のグリホサートを4週間で週3日投与して、神経行動学的影響を調べた。実験の結果、歩行活動が減少、眼球の動きに顕著な変化が起き、認知能力も優位に損なわれた。〔Neurotoxicology and Teratology 64 2017/11-12〕

●ラット実験でもラウンドアップは生殖機能などに影響
 
 イタリアのラマジーニ研究所がラウンドアップとその主成分のグリホサートの両者を用いた実験で、生殖機能などに影響があることが明らかになった。ラットを用いた90日の実験は本実験の前の予備実験で、米国で毎日摂取しても安全とされる水質基準値と同じ濃度で行なった。その結果、ラウンドアップでもグリホサートでも性的発達への影響や遺伝毒性、腸内細菌に影響をもたらすことが示された。影響はラウンドアップの方がグリホサートよりも大きかった。〔Ramazzini Institute 2017/10/24〕


●GM食品を止めて病状が改善
 
 GM食品から非GM食品への切り換えで、種々の症状が改善したという報告が発表された。ジェフリー・スミスが代表のInstitute for Responsible Technology(IRT:責任ある科学技術研究所)による、3256人の回答を分析したものである。研究報告は『国際栄養・機能医学誌』に査読を経て掲載された。改善ないし回復したのは、消化器系85.2%、疲労60.4%、肥満54.6%、精神的な苛立ち51.7%で、食物アレルギーや過敏症は50.2%に達した。〔International Journal of Human Nutrition and Functional Medicine 2017/11/7〕