■2018年2月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

今月の潮流●ラウンドアップが腸内細菌に影響


 フランス・カーン大学のセラリーニらは「毒性学リポート(Toxicology Reports)」に2本の論文を発表した。1つは、ラウンドアップが腸内細菌に変化をもたらすという報告である。腸内フローラは免疫システムに影響するため、この実験結果は注目される。実験は、ラウンドアップを環境基準程度の濃度でラットに与えたところ、腸内に生息するバクテロイデテス科の細菌が増加し、ラクトバシラセア科の細菌が減少したというもの。これは、ラットの糞を調べてわかった。体外の試験管で行なった実験では、細菌の変化は高濃度でなくては起きないことも判明したという。


もう1つの論文は、グリホサートを主成分とする除草剤から重金属が検出されたというもの。含まれていた重金属はヒ素、鉛、クロム、ニッケルなどで、グリホサートを主成分とする11種類の除草剤を含む22の農薬から検出された。しかも、飲料水で許容されている濃度より高かった。スリランカでグリホサートと慢性腎臓病の関係が疑われ、調査したところ大量のヒ素が含まれていたのが実験の契機となった。スリランカでは以降グリホサートの使用が禁止となった。研究者は、農薬には毒性の強い界面活性剤も用いられており、これに重金属が加わると複合的な評価が必要である、と述べている。
〔Toxicology Report vol5 2018/1〕