■2018年3月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

ニュース



●北米事情
●米国が中国のGM稲を承認

米国食品医薬品局(FDA)は1月9日、中国で違法栽培が拡大しているGM稲を安全と評価した。すでに環境保護局(EPA)も承認しており、米国への輸入や米国内での栽培が可能になった。このGM稲は、中国湖北省武漢にある華中農業大学が開発したBt稲で、中国では安全審査は通過したが栽培は認められていない。この稲の殺虫毒素は、Cry1AbとCry1Acである。中国国内での違法栽培が進み、世界各国で未承認作物として廃棄や積戻し措置が取られている。今回の承認で、違法栽培稲の米国内への輸入が認められることになる。〔Global Times 2018/1/22〕


●南米事情
●ブラジル特許庁が第二世代GM大豆の特許無効に

ブラジル特許庁は、モンサント社の第二世代の除草剤耐性大豆「Intacta」の特許を無効とした。昨年11月に大豆生産者団体アプロソヤ(Aprosoja)が「特許権無効」を訴え、それが認められた。ただちにモンサント社は特許権を守るために2カ月間の執行停止を求めた。ラウンドアップ耐性と殺虫毒素Btの機能を合わせもつ第二世代の大豆は、2016年にブラジルでシェア96.5%を占めたモンサントGM大豆の、そのうちの53%だとみられている。〔Reuters 2018/1/24〕
●欧州事情
●EU司法裁判所がゲノム編集の規制に見解

欧州司法裁判所の控訴法廷は1月18日、ゲノム編集にはGMO規制が適用されないという見解を発表した。Michal Bobek裁判官は、ゲノム編集のような突然変異誘発は遺伝子を導入する組み換えとは異なり、EU指令で規定しているGMO規制から外すべきだ、と理由を述べた。〔The Guardian 2018/1/18〕


●GM昆虫
●ブルキナファソでGM蚊の放出実験か

今年中にブルキナファソでGM蚊の放出実験が行われる可能性が出てきた。計画しているのはターゲット・マラリア研究コンソーシアムで、放出される蚊はGM技術で雄性不稔にしたものである。放出実験はマラリア減少を目的にしているが、遺伝子ドライブ技術の応用のための予備実験と位置づけられている。GM蚊はすでに、ロンドン・インペリアル・カレッジからブルキナファソに送られている。〔GM Watch 2018/2/12〕

●ゲノム編集
●ゲノム編集でオフターゲットは確実に起こる

オランダ・デルフト工科大学の研究チームが、ゲノム編集で問題点になっている、目的とする遺伝子以外のDNAを切断する「オフターゲット」が確実に起きることを示し、それを組み込んだ新たな数式モデルを提案した。研究チームが、オフターゲットが確実に起きるとした根拠は、ゲノム編集で使われるCRISPR-Cas9が細菌のもつウイルスからの防御システムを利用しているところにある。ウイルスは自己防衛のためにDNAに変化を起こすが、この防御システムでは、変化に対応するためにDNAが完全に一致しなくても切断する時がある、と説明している。そのため、そうしたエラーが起きる確率を組み込んだ新たなモデルを提案した。〔Phy.org 2018/2/7〕