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ニュース
●モンサント
●モンサント社がジカンバ耐性作物で二つの訴訟に直面
モンサント社は米国内で、ジカンバ耐性作物をめぐる2つの訴訟を抱えている。1つは、農家による反トラスト集団訴訟である。農家は、種子独占によりモンサント種子を使用せざるを得なくなり経営の危機に直面していると訴えた。ジカンバは強い揮発性と移動性によって、農地に大きな被害をもたらし、それを避けるために他の種子を使用したくても種子独占によりモンサントの高価な種子を買うしかなく、経済的不利益を被っている、というもの。〔Big
Law Business 2018/2/2〕
もう1つは、ジカンバの承認取り消しを求める訴訟である。裁判は2017年1月に米国全土で起こされたが、このほどセントルイスの裁判に一本化することが求められた。訴訟を起こしたのは、米国家族経営農家連合、食品安全センター、生物多様性センター、農薬行動ネットワークなどで、環境保護庁(EPA)がジカンバを承認する際に、モンサント社から不当な介入を受けていたことが、連邦殺虫剤・殺菌剤・殺鼠剤法および絶滅危惧種保護法に違反する、というのが訴訟理由である。〔DTN
The Progressive Farmer 2018/2/15〕
●省庁動向
●岩手大開発のGMリンドウがカルタヘナ法の対象外に
岩手大学農学部の吉川信幸らが開発した早咲きのGMリンドウが、2017年11月22日に開かれた生物多様性影響評価検討会で評価の対象外と判断された。このリンドウは、リンゴ小球潜在ウイルス(ALSV)をベクター(遺伝子の運び屋)に用いたGM技術で、通常2年かかる開花の時期を半年に早めるとともに、開かないエゾリンドウの花弁を開くようにした。生物多様性影響評価を免れた理由として、最終的な収穫物には導入した遺伝子もALSVも残っていないことがあげられている。岩手大の研究室では、この技術をリンゴの開花促進に用いたいとしている。
●農水省の調査で種子汚染拡大が判明
2月6日農水省は、2016年度に行ったGM植物の生育と交雑に関する調査結果を発表した。これは農水省が毎年、輸入港やその周辺で行っているGMナタネとGM大豆の生育状況と交雑についての報告である。セイヨウナタネは交雑を調べるためカラシナ、在来ナタネとともに17港とその周辺で採取している。大豆はやはりツルマメとともに10港とその周辺で採取している。
セイヨウナタネは17港中15港で217群落が確認され、その内544個体を採取。その結果、GMナタネは9港(苫小牧、鹿島、千葉、横浜、名古屋、四日市、神戸、博多、志布志)で計92群落、142個体見つかった。約26%と極めて高い割合である。その他14港でカラシナ135群落、在来ナタネ40群落の生育を確認したが、それらへの交雑は確認されなかった。
大豆では、自生が確認されたのは博多港のみで6群落6個体、GM大豆は半数の3群落3個体だった。ツルマメは鹿島港と千葉港の2港で7群落37個体を確認したが、いずれも交雑は確認されなかった。
今回の調査では、非遺伝子組み換えセイヨウナタネ88個体とGMセイヨウナタネ56個体から種子を取り出し分析している。その結果、親植物である非遺伝子組み換え88個体のうち、子にあたる種子12個体がGM種子だった。また親植物がグリホサート耐性であるのに、種子がグルホシネート耐性のものが2個体、グリホサート・グルホシネート両耐性が3個体見つかった。親植物がグルホシネート耐性であるのに、種子がグリホサート耐性のものが1個体、グリホサート・グルホシネート両耐性が3個体見つかった。交雑が予想以上に拡大している状況が明らかになった。
※グリホサートは除草剤ラウンドアップの主成分、グルホシネートは除草剤バスタの主成分。
表 セイヨウナタネの種子汚染の状況
親植物の性質 |
採取個体数 |
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種子の性質 |
非遺伝子組み換え |
グリホサート耐性 |
グルホシネート耐性 |
両耐性 |
非遺伝子組み換え |
88 |
|
76 |
4 |
7 |
1 |
グリホサート耐性 |
10 |
|
0 |
5 |
2 |
3 |
グルホシネート耐性 |
46 |
|
0 |
1 |
42 |
3 |
計 |
144 |
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76 |
10 |
51 |
7 |
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※表中の灰色部分は交雑により得られた種子 |
●遺伝子組み換え「不使用表示」はなくなるのか
消費者庁は「遺伝子組換え表示制度に関する検討会」で表示制度の見直し作業を進めている。そこでの議論は業界寄りで、このままでは現行の表示制度が継続されるのではないかと懸念されていたが、1月31日に開かれた第8回目の検討会で、新たな展開が見られた。これまで「遺伝子組み換えでない」あるいは「遺伝子組み換え大豆不使用」と表示できるのは、意図せざる混入率5%までが対象だった。それを検出限界値(ほぼ0%)に引き下げることが提案され、了承されたのである。意図せざる混入率はこれまで通り5%まで容認されるが、「不使用」表示だけが変更になる。変更されれば「不使用」表示がなくなる可能性がある。なぜなら、日本には大量の遺伝子組み換え作物が輸入されており、どんなに分別しても微量の混入が起き、事実上0%はほとんど存在しない。0%が存在しない以上、不使用表示はなくなってしまうのである。不使用表示がなくなれば、実質的にGM食品の存在自体を知ることができなくなるとして、日本消費者連盟など多くの消費者団体が、0%表示への変更に反対している。
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