■2018年4月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

今月の潮流●進み始めた遺伝子ドライブ技術の野外放出計画


 まだ先のことと思われていた、遺伝子ドライブ技術で改造した生物の野外放出計画が、ブラジル、オーストラリア、米国で進んでいる。
1月15日、ブラジル・バイオセーフティ技術委員会は遺伝子ドライブ技術で改造した生物の野外放出を承認した。これに対して、同国最大の農民組織である農業労働者国民連合(National Coalition of Farmworkers)や環境保護団体が集まり、2月3〜4日にサンパウロ近郊で抗議デモを行なった。

西オーストラリア州の6つの島と米国の太平洋の2つの島嶼部でも、遺伝子ドライブ技術で改造したマウスを用いてげっ歯類を駆除する放出実験が計画されている。この計画は、米国国防総省国防高等研究計画局(DAPRA)の資金提供により、オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)、アデレード大学、西オーストラリア州環境保護局、米国の関連企業がGBIRd(Genetic Biocontrol of Invasive Rodents:侵襲的げっ歯類の遺伝的駆除)という組織を結成して進められている。

この遺伝子ドライブ技術の応用は、種の絶滅を目指したものだけに、生物多様性に大きな影響が出ることが懸念される。〔The Sydney Morning Herald 2018/2/24他〕