■2018年5月号

今月の潮流
News
News2


今号の目次へ戻る
ジャーナル目次へ戻る





























バイオジャーナル

ニュース



●欧州事情
●欧州委員会がバイエルのモンサント買収認める

3月21日EUの欧州委員会は、独バイエル社による米モンサント社の買収を、一部の事業を売却するなどの条件付きで承認した。合併について欧州委員会は、EU競争法(独占禁止法)に違反する懸念があるとして調査していた。この承認により、2016年9月に正式合意した巨大GMO企業の統合は最大の壁を越えた。〔European Commission 2018/3/21〕

米国とロシアはまだ承認していないが、EUより壁は低いとみられている。バイエル社は米国の独占禁止法に対応するため、発表済みの資産売却に加え、その上乗せに合意している。〔Wall Street Journal 2018/4/9〕
米国で、このメガ合併についての農民を対象とした調査が3月初めに発表された。それによると、48州約1000人のうちの約93%が合併に懸念を示した。理由としてもっとも多かったのが、種子の選択肢が奪われるという点だった。〔Pesticide Action Network 2018/3/22〕


●グリホサートをめぐるヨーロッパの動き

 ドイツ環境大臣のスヴェンヤ・シュルツェ(社会民主党)が、ミツバチの絶滅を防ぐことが最重要課題だと述べ、農業大臣のユリア・クレックナー(キリスト教民主同盟)とともに昆虫保護計画を作成すると発表し、この計画では、植物をすべて枯らすグリホサートの全面的な規制が必要だと述べた。〔Xinhua Enblish.news.cn 2018/4/6〕
世界最大のパスタ・メーカー、イタリアのバリラ(Barilla)社が、グリホサートに汚染されているとしてカナダ産小麦の輸入を35%削減すると発表した。原料の小麦がイタリアだけではまかなえないため、多くをカナダに依存している。しかし、消費者の間で広がるグリホサートへの懸念が、この措置をもたらした。同社製造のパスタは約半分を輸出している。〔iPolitics 2018/4/3〕


●北米事情
●アマゾンが表示なしでGMリンゴを販売

 流通大手のアマゾンが、カナダで栽培され米国とカナダですでに流通しているGMリンゴを、表示をしないで販売を始めた。このリンゴは、皮をむいても変色しないように改変されたもので、アマゾンのパッケージには「防腐剤不使用」と表示している。〔GM Watch 2018/3/27〕


●アジア事情
●インド高裁、モンサントの特許認めず

 4月11日インド高等裁判所は、モンサント社のGM綿「ボルガード」と「ボルガード2」について、インドの特許法では特許権を取得できない、という判断を下した。今までモンサント社は、インドの現地法人であるマヒコ社とともに、約50社にライセンス供与してきたが、判決により契約が不要になる可能性が出てきた。モンサント社は大きなダメージを受け、インドから撤退する可能性もある。同社は最高裁で争う姿勢を見せている。〔Eco Watch 2018/4/18〕


●違法GMO栽培が横行する中国

 春になると中国では、GM種子の違法取引・栽培が始まり、規制を強化してもコントロールがきかなかった。そのため各省政府は今年も一斉に規制を開始した。3月に黒竜江省では、GM種子を購入しないよう農家に警告し、取り締まりを強化すると発表した。4月に入り山東省では、GM作物の栽培・販売・輸入の取り締まりを強化すると発表した。内モンゴル自治区では違法種子販売と違法表示に絞って取り締まると発表した。中国では承認されたGM品種に限り試験栽培は認められているが、商業栽培は認められていない。昨年2月には未承認GM作物の試験栽培をしていた7社が農業省に摘発されている。〔Dimsums Blogspot 2018/4/11〕


●GMOフリー
●デルモンテが154製品のGMOフリーを宣言

米国サンフランシスコに本社を置く大手食品メーカーのデルモンテ社が、GMOを使用せず、環境ホルモンに指定されている有害なビスフェノールAも用いないと宣言した。野菜、果実だけでなく、甘味料や大豆成分など約154の製品でGMOフリーを進める。ビスフェノールAは、缶詰の内側のコーテイング材に用いられてきたが、それをアクリルまたはポリエステルベースに切り替える。〔Fortune 2018/3/29〕