■2018年7月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

ニュース



●欧州事情
●フランスがより厳格な食品表示制度に

 フランスで、肉や卵、乳製品などGM飼料を用いた食品への表示を義務づける法案がまもなく可決される見込み。同法案は、野菜や穀物などに使用した農薬の種類の表示も義務づけている。議会上院で可決されれば成立し、2023年1月より施行される。〔Sustain 2018/6/2〕


●英国農業省、ゲノム編集を規制せず

 英国農業省は、ローザムステッド研究所がゲノム編集で開発したカメリナに対して、リスク評価を求めなかった。国としてゲノム編集など新しいバイオテクノロジーへの規制を設定しないと表明したものである。カメリナはアブラナ科の植物で、種子が油の原料になり、最近ではバイオ燃料用として注目されている。市民団体のGMフリーズは、現在、欧州司法裁判所でゲノム編集の規制について検討が加えられているが、従来のGMOと同様の規制をかける可能性が出てきたことから、それを避ける意図があるのではないか、とコメントしている。〔GM Watch 2018/5/22〕

●GM酵母
●GM技術がもたらしたホップなしのビール

 米カリフォルニア大学バークレー校の遺伝子工学研究者が、ホップの代わりにGM技術で改造した酵母を用いてビールを製造した。これについてGMフリー・スコットランドは、GM酵母は瓶詰の前に大半が除去されるので大量にビールに残留することはないものの、環境に対する脅威になる、と指摘した。またGM技術が新たな毒性をもたらす可能性があり、安全性にも懸念がある。事実、1990年代に開発されたGM酵母は、発癌物質と疑われているメチルグリオキサールを高濃度で生じさせた、と指摘した。〔GM-Free Scotland 2018/5〕

●GM汚染
●パキスタンのGM綿汚染深刻化

 パキスタンで非GM綿へのBt遺伝子汚染が深刻化し、汚染により収量減となっている。パキスタン綿中央委員会(Pakistan Central Cotton Committee)は、15の非GM綿を国立検査機関(NCVT)で生化学検査したところ、すべてBt綿由来の毒素産生遺伝子に汚染されていた、とパンジャブ州ムルタンで開催された会合で報告した。さらに、汚染が生産性の低下につながっている、と指摘した。〔the news.com (Pakistan) 2018/5/27〕

●省庁動向
●環境省がゲノム編集の規制を秋までに決定

 ゲノム編集について環境省は、カルタヘナ法の対象かどうかを決めるため、5月28日、中央環境審議会自然環境部会遺伝子組換え生物等専門委員会のもとに「カルタヘナ法におけるゲノム編集技術等検討会」を設置した。日本ではまだ、ゲノム編集で開発された生物についての対応を明らかにしていなかった。数回の検討会を開催し、秋までに結論を出す予定である。

●政府が統合イノベーション戦略を閣議決定

 政府は6月15日、安倍政権の政策の大きな柱の一つであるイノベーションを進めるため、「統合イノベーション戦略」を閣議決定した。研究費を若手に重点配分するなどの大学改革を盛り込んでおり、バイオテクノロジーも農業を軸に大きな柱となっている。政府は新戦略にそって官房長官が議長を担う「統合イノベーション戦略推進会議」を今夏に設置する。