■2018年9月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

ニュース



●GM表示
●米国で不当表示に消費者がネスレを訴える

 米国カリフォルニア州で、消費者がネスレ社を訴えた。理由は、GMOフリーと表示しながら、GM飼料で飼育した牛の乳を原料に製造し販売していたことに加え、あたかも第三者認証によって認証を受けたかのようなシールを使用していたからである。ネスレ社は、訴えには根拠がないと否定している。〔CBS News 2018/8/2〕
●ゲノム編集
●英国の生命倫理評議会がデザイナー・ベイビー容認

 英国で大きな影響力をもつナフィールド財団の生命倫理評議会が、ゲノム編集など遺伝子操作で人間の生命を改造するデザイナー・ベイビーを認め、大きな論争を呼んでいる。市民団体のヒト遺伝子監視(Human Genetics Watchdog)は、性差別、人種差別、障害者差別などをもたらし偏見を助長すると批判し、国際的な禁止を求めた。〔Human Genetics Watchdog 2018/7/30〕


●DNAへの大ダメージをもたらすゲノム編集遺伝子治療

 ゲノム編集技術を人の受精卵に適用し、成功したという遺伝子治療について、オーストラリアの研究者が追試験をしたところ、DNAに大きなダメージが起きていた。元の実験は、2017年8月2日付「ネイチャー誌オンライン版」に掲載された遺伝子治療で、米国オレゴン健康科学大学らの研究チームがゲノム編集技術で58個の受精卵を作成し、その内42個に遺伝子の変異が見られなかったというもの(本誌2017年9月号参照)。追試験を行ったのは南オーストラリア州保健医療研究所の研究者でアデレード大学教授のポール・トーマス。オーストラリアではヒト受精卵を用いた実験が認められていないため、マウスの胚を用いて実験を行った。その結果、対象のDNAの約半数の100箇所以上に大きなダメージが起きていた。この結果は2018年8月9日付「ネイチャー誌オンライン版」に掲載された。〔The Age 2018/8/9〕

●省庁動向
●日本のゲノム編集技術規制、切断のみは規制外に

 環境省自然環境局野生生物課外来生物対策室が事務局を担う「カルタヘナ法におけるゲノム編集技術等検討会」が、8月7日、20日の2度にわたり開催され、現在最も広がっているDNAを切断するだけのゲノム編集技術に関しては、カルタヘナ法の対象外とすることが了承された。EUと異なり、このままでは日本の大半のゲノム編集技術は環境影響評価されなくなるおそれがある。