■2018年11月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

今月の潮流●活発化するトランプ政権のGMO推進



 GMOを推進する米国トランプ政権は、とくにアフリカで売り込みを強化している。国務省貿易政策専門官ピーター・ハースは、南アフリカで開催されたバイオテクノロジー会議でGMO推進の意義を述べ、その後、エチオピアのアディスアベバにあるアフリカ連合本部での会合に参加し、さらにエチオピア政府と話し合いを持った。エチオピアは来年からGM綿の商業栽培を予定している。これはトランプ政権によるアフリカ諸国への働きかけの成果だという。〔The East African 2018/8/30〕

表示問題でもトランプ政権は、オバマ政権時代に成立したGM食品情報開示法案について、施行期限がきてもまったく動こうとしない。そのため米国内では、これまで表示を求める消費者団体などに圧倒されてきた業界の反撃が始まった。非GMO表示は消費者に誤解を与え欺くものだとして、情報技術&技術革新財団(The Information Technology and Innovation Foundation)は非GMO表示を禁止するよう申し入れた。GMO推進のロビイストでバイオテクノロジー業界団体の副代表が、この申し入れに感謝を寄せている。〔GM Watch 2018/9/25〕

トランプ政権はグリホサート問題に対しても、取り組むどころか後ろ向きの姿勢を示している。最近も環境行政の後退を印象づける出来事が起きた。米国環境保護局(EPA)が環境行政の目玉として取り組んでいた、有害物質が子どもの健康に及ぼす影響を研究していた小児科医で疫学者のルース・エッツェル(Ruth Etzel)が事実上解雇された。これによりEPAが進めてきた子どもの健康プログラムが危機を迎えている。このプログラムは、1993年に全米科学アカデミーが、有害な化学物質から受けるダメージは成人の比ではなく、とくに食事を通して摂取する農薬などの影響は発達障害や生殖障害などに深刻な影響をもたらす、と報告して以来取り組まれてきた。グリホサートの発癌性が問題になるなか、農薬が子どもに及ぼす影響への研究が大幅に後退を強いられることになった。〔New York Times 2018/10/2〕