■2018年12月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

今月の潮流●農薬による癌発症のさまざまな事例



 ブラジル、ドイツ、英国からなる国際的な研究チームが、農薬の使用量増加と結腸癌増加の関連性を指摘した。ブラジルでは、2000年に年間約1億6000万トンだった農薬の使用量が、2012年には約5億トンに達している。それに伴い結腸癌による死者が、2000年の約95万人から2012年には約100万人に増加した。死者の増加に男女差はなく、飛散、飲み水への汚染、食品への残留などで農薬に曝された結果だという。研究に参加した英国セントラル・ランカシャー大学のフランシス・L・マーチンは、農薬の使用量増加と結腸癌増加には強い相関関係がある、と述べている。〔Beyond Pesticides 2018/11/7〕


農薬による健康被害に関心が強まっているなか、欧州議会の緑の党連合が毛髪の農薬検査結果を発表した。集められた148検体はEU6か国の議員のもので、30種類の農薬が分析された。ある人の毛髪からは15種類の農薬が検出され、検体の6割から1種類以上の農薬が検出された。〔Sustainable Pulse 2018/11/8〕


癌になった原因が除草剤ラウンドアップの主成分グリホサートによるものと認定され、勝訴した裁判の被害者が罹患した癌は非ホジキンリンパ腫だった。この度、有機食品に切り換えることで発癌リスクが軽減されたという報告が出た。調査したのはフランス・ソルボンヌ疫学研究センターのジュリア・ボドリーらの研究チームで、フランス人7万人を調査した。有機食品に切り替えることによって癌の発症が25%低減し、特に閉経後の乳癌、非ホジキンリンパ腫、その他のリンパ腫が減少した。〔Daily Mail 2018/10/22〕