■2018年12月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

ニュース


●北米事情
●発癌物質グリホサート訴訟、上訴審もモンサント敗訴

 グリホサートによる癌発症を認定し、モンサント社に2億8900万ドル(約320億円)を支払うよう命じた裁判の上訴審で、カリフォルニア州サンフランシスコ上級裁判所は10月23日、再びモンサント社の責任を認める判決を下した。ただし賠償額のうち、懲罰的損害賠償金2億5000万ドルが3900万ドルと大幅に減額され、賠償額は総額7800万ドルとなった。原告の弁護団は、再びモンサント社の責任が認められたことを評価しつつ、賠償額が減額されたことを批判した。〔NBC News 2018/10/23〕


●米国環境保護庁がジカンバの承認継続

 環境行政の後退が目立つトランプ政権だが、環境保護庁(EPA)は、ここ2年間で500万エーカーもの農作物や樹木を枯らす被害をもたらしたジカンバについて、いくつかの条件を加え再び2年間の使用を承認した。条件は、絶滅危惧種がいる地域では緩衝地帯を設ける、散布する日数を制限する、などである。市民団体「生物多様性センター」のネイサン・ドンレイは、これではオオカバマダラ蝶のような絶滅危惧種は保護できない、と述べている。〔Center for Biological Diversity 2018/11/1〕



●中南米事情
●商業栽培禁止のメキシコで続くGM大豆栽培

 メキシコでは7州でGM大豆栽培の商業栽培が禁止されたが(本誌2018年1月号参照)、相変わらず栽培されているため、食文化を破壊するとしてマヤのコミュニティが危惧を示している。禁止地域のカンペチェ州オペルチェン自治体では、約4万2000haの大豆畑から収穫した約12万トンのほとんどがGM大豆だった。〔Collective MA OGM 2018/11/15〕



●欧州事情
●欧州委員会がBt毒素の再評価を求める

 Bt作物中で作られるBt毒素のアレルギー性に対する早急な再評価を、欧州委員会(EC)が欧州食品安全庁に求めた。改めて評価を求めたのは、Bt毒素のCry1Acが、アナフィラキシー・ショックを誘発しやすいと指摘されたためである。〔GM Watch 2018/10/20〕


●ドイツ環境省がグリホサート禁止に動き出す

 ドイツ環境省は、グリホサートを含む有害な農薬を段階的に禁止する、農薬に関する新たな規制を行なうことを明らかにした。すでに公園や私的利用でのグリホサートの使用を規制しており、農業を含めた範囲拡大を目指している。しかし、EU全体では認可の再延長によって2022年12月までグリホサート自体を禁止することはできない。そのため、環境省のこの事実上禁止に向けた動きに、農水省は反発している。〔Euractiv 2018/11/11〕



●アジア事情
●中国の研究者、耐塩性稲をドバイで収穫

 中国青島海水稲研究開発センターの研究者で、「ハイブリッド米の父」と呼ばれる袁隆平(Yuan Longping)は、希釈した海水を用いたGM稲の研究を山東省で行なってきた。稲はドバイの砂漠地帯でも栽培され、今秋収穫を迎えた。それを受けて同センターは、今後中国における不毛の土地での栽培を目指す、と述べた。〔Chssachetan Wordpress.com2018/10/27〕


●インド・パンジャブ州でグリホサート販売禁止

 インドのパンジャブ州政府農務省が、州内でのグリホサート販売を禁止した。これはインド政府の中央殺虫剤検討会・登録委員会が、茶畑と非作物地域に限定してグリホサートの使用を承認したのを受けたもの。同州は茶畑がなく、非作物地域も狭いため、禁止しても差し支えないと説明している。〔Down To Earth 2018/10/25〕