■2019年1月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

ニュース


●北米事情
●アーカーソン州がジカンバ規制を解除へ

 米国アーカンソー州議会作物委員会は、除草剤ジカンバの規制解除を決議した。ジカンバは、一昨年、昨年と米国のいくつかの州で農作物などに大きな被害をもたらしたが、米国環境保護庁(EPA)は2018年10月に、2年間認可を延長した。アーカンソー州では独自に4月15日から10月31日まで、ジカンバの使用を禁止してきたが、それを解除するものである。〔FERN’s AgInsider 2018/12/9〕


●グリホサートがパーキンソン病による死亡率を高める

 ワシントン州での調査で、除草剤グリホサート散布地域に住む人は、農薬散布のない地域に住む人に比べて、パーキンソン病での早期死亡率が33%高いことが明らかになった。さまざまな農薬、パラコート、アトラジン、ジアジノン散布地域などとも比較しているが、パーキンソン病との関わりは見いだせなかった。ワシントン州立大学のマライア・カバレロ(Mariah Caballero)などによるこの研究は、「国際環境研究と公衆衛生ジャーナル」誌に掲載された。〔Internatinal Journal of Environmental Research and Public Health 2018,15(12),2885〕


●南米事情
●アルゼンチンはゲノム編集魚を規制せず

 アルゼンチンの遺伝子組み換え生物規制機関である農業バイオテクノロジー諮問委員会(CONABIA)は、ゲノム編集で遺伝子操作したティラピアについては規制しない、と発表した。このゲノム編集魚は、米国のインテクソン社とアクアバウンティ・テクノロジーズ社の共同開発で、成長を早めるように改造した。インテクソン社によると、ティラピアは缶詰製品としては、エビ、鮭、マグロに次いで4番目に消費される魚で、成長が望める分野だという。〔Seeking Alpha 2018/12/18〕


●欧州事情
●フランスがグリホサート2020年廃止へ向け取組開始

 フランスは除草剤グリホサートの段階的な使用禁止を開始し、2020年までに完全に禁止すると発表した。マクロン大統領は、この段階的禁止は、すべての農家がグリホサート不使用を示すトレーサビリティが確立するまでの準備期間である、と述べた。また環境大臣は、グリホサートに関する税を増額し、その収入を有機農業の支援に充てると述べた。〔Sustainable Pulse 2018/11/24〕

●ウクライナで広がる違法GM大豆栽培

 ウクライナでの違法GM大豆栽培がルーマニアの環境保護団体の調査で明らかになった。6地域の60試料を採取し分析したところ、半数の地域の大豆が遺伝子組み換えだった。同国ではGM作物栽培には許可が必要だが、現在許可は出されておらず、明らかな違法行為になる。2016年にもドイツの研究所がウクライナの違法栽培を指摘している。同国の大豆の多くはヨーロッパに輸出されている。〔Organic-Market.info 2018/11/22〕


●ゲノム編集はトレーサビリティができない

 欧州司法裁判所の判断により、ゲノム編集技術などの新植物育種技術食品には表示が義務づけられたが、管理のためにはトレーサビリティが必要になる。市民団体InfoOGMの調査によれば、欧州委員会並びに専門家は、新植物育種技術はトレーサビリティができないと結論づけており、このままでは裏付けのない表示制度になる可能性が高い。〔InfoOGM 2018/11/30〕



●アフリカ事情
●タンザニア政府がGMOの破棄を命じる

 タンザニア政府は、タンザニア農業研究所に対して、承認手続き違反により、すべてのGM作物の試験中止と試験中の作物の破棄を命じた。同国ではいま、ドドマでGMトウモロコシの試験が、ダルエスサラームでGMキャッサバの試験栽培が行われている。〔The Citizen 2018/11/23〕



●オセアニア事情
●豪州でGM小麦の試験栽培承認

 オーストラリアの規制機関である遺伝子技術規制局(OGTR)は、メルボルン大学が申請していたGM小麦の試験栽培を許可した。この小麦は鉄分を増やしたもので、2019年4月から2023年12月まで、年間最大10か所で栽培を行う予定。規模は最大2ヘクタールに達し、ヴィクトリア州、ニュー・サウス・ウェールズ州、西オーストラリア州、南オーストラリア州で栽培される。〔ISAAA 2018/11〕