■2019年2月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

ニュース


●欧州事情
●仏裁判所がグリホサートの認可取り消し命令

 フランス南部リヨンの裁判所が、モンサント社のグリホサート系除草剤の認可を取り消す判決を下した。フランスの食品、環境及び職場のリスク評価を行う国立食品環境労働衛生安全庁(ANSES)が、グリホサートを認可した際に人間の健康についての配慮が欠けていた、というのがその理由である。現在のマクロン政権が3年以内にグリホサート禁止を約束しているが、それより早く禁止されることになる。〔Reuters 2019/1/15〕


●ロシアなど5か国、GM表示をより分かりやすく変更

 ユーラシア経済連合(EEUもしくはEAEU)の執行機関であるユーラシア経済委員会(EEC)は、GM食品表示に関する追加要件を発表し、より消費者にわかりやすくするよう変更を求めた。現在、EEU加盟国はロシア、ベラルーシ、アルメニア、カザフスタン、キルギスである。これらの国でのGM食品表示は、すべての食品が対象で、0.9%以上含まれている食品に関してはGMO表示が必要であるが、表示する際の文字は小さな文字でもよかった。この文字の大きさに関して、「ユーラシア適合」マークと同様の大きな文字で表示することを求めたのである。この表示案は消費者保護と福祉に関するロシア連邦監視局によって考案され、12月26日にEEC評議会にかけられ採択された。〔BELARUS NEWS 2018/12/26〕



●北南米事情
●カリフォルニア州でオオカバマダラ蝶が絶滅寸前

 GM作物栽培に使用される除草剤グリホサートは、オオカバマダラ蝶のえさとなるトウワタの木を枯らし、蝶の減少をもたらしてきた。その後、減少に歯止めがかからず、カリフォルニア州では雑滅寸前になっていることが明らかになった。非営利団体の「無脊椎動物の保護を進めるゼロックス・ソサイアティ(The Xerces Society for Invertebrate Conservation)」は昨年、カリフォルニア州の97か所を調査し、2017年には14万8000だったオオカバマダラの生息数が、18年には2万456になり、86%も減少していたと報告した。1980年代に比べると97%減少している。調査地点97か所は州の77%をカバーしている。今後トウワタを植えていけば生息数が持ち直す可能性はある、と調査団体は述べている。〔New York Times 2019/1/9〕

●米国の除草剤ジカンバ被害、今年も広がるのか

 除草剤ジカンバは2017年、18年と多大な被害をもたらし、連邦政府による規制も厳しくなったが、2019年も被害はおさまりそうにない。警告したのはミズーリ大学の植物学者ケビン・ブラッドリー(Kevin Bradley)で、ジカンバ耐性大豆の栽培が広がり、果樹・野菜・ナッツや樹木などが被害を受けやすくなっている、と指摘した。雑草学が専門のボブ・ハルツラー(Bob Hartzler)は、除草剤に強い雑草や樹木にはすぐには影響が出ないが、5年、10年後に影響をもたらすだろう、と述べた。両研究者ともに、一昨年、昨年よりもジカンバ散布が増え、範囲も広がると予測している。〔HPPR 2018/12/27〕


●米国でGM食品は危険だと思う人が増加

 ピュー調査センター(The Pew research Center)による世論調査で、米国ではGM食品を危険だと考え、受け入れない人が増加している。2016年にGM食品を「健康に悪い」と答えた人は39%だったが、2018年には49%に増加していた。2018年の調査では「どちらでもない」と答えた人は44%、「健康に良い」と答えた人は5%だった。〔Agprofessional 2019/1/15〕


●エクアドルがGMOフリー国家を維持

 エクアドルはGMOフリー政策を採っているにもかかわらず、違法GM作物の栽培が拡大している。事態を憂慮した農民と環境保護団体が提訴し、裁判所はエクアドル政府農業省に対して、違法栽培のGM作物の焼却と、GM種子の没収と焼却を命じた。訴えを起こした農民らは、GMOフリー国家を維持する、この判決を高く評価した。〔Network for a GM Free Latin America 2019/1/16〕