■2019年5月号

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バイオジャーナル

ニュース


●北米事情
●カナダ環境省、国内でのGM鮭養殖を承認

 カナダ環境省は、プリンスエドワード島にあるアクアバウンティ・テクノロジーズ社の養殖場でのGM鮭の養殖を承認した。これまでは受精卵がつくられた後、パナマに運ばれ、そこでGM鮭は養殖されていた。今年に入り、米国がGM鮭の流通・販売を承認していることから、今後はカナダから米国への直輸出が可能となる。〔Canadians Biotechnology Action Network 2019/4/2〕


●グリホサート被害者への賠償額8080万ドル

 カリフォルニア連邦裁判所陪審は、被害者が癌になった原因はラウンドアップの可能性が高いと認定した第一段階に続き、3月27日、第二段階においてバイエル社(旧モンサント社)へ賠償額8080万ドル(約89億ドル)を提示した。内訳は経済的損失20万ドル、それ以外の損失560万ドル、懲罰的損害賠償7500万ドルとなっている。〔The Guardian 2019/3/17〕
この裁判を契機に、米国ではグリホサート被害者による訴訟が頻発している。度重なる敗訴により、バイエル社は大量の解雇を提示した。ドイツでの解雇予定者数は4500人で、同社社員の約14%に当たる。世界全体では1万2000人の解雇を予定している。〔Bloomberg 2019/4/8〕


●米連邦が州のジカンバ規制解除に動く

 米国では除草剤ジカンバが大規模な農作物被害を引き起こしていることから、被害が大きかった州では、州独自の対応を認めている「連邦殺虫剤・殺菌剤・殺鼠剤法」の条項をもとに規制を行なっている。それに対して環境保護庁(EPA)は、独自の規制に制限を加えようとしている。オレゴン州などはこの動きに強く反発している。〔DTN Progressive Farmer 2019/3/22〕


●カナダで深刻な蜂蜜へのグリホサート汚染

 カナダ・アルバータ州農林水産局の研究者が行なった検査で、同州で販売された蜂蜜200検体中197検体からグリホサートが検出された。ミツバチが体に付着した農薬を巣箱に持ち帰ったとみられる。ハワイのカウアイ島での類似の調査では、59のミツバチの巣箱中16箱(27%)からグリホサートが検出された。〔Environmental Health News 2019/3/22〕


●トウモロコシ栽培が大気汚染をもたらす

 ミネソタ州の研究者によると、米国ではトウモロコシ栽培にかかわる大気汚染によって、年間4300人が死亡している。原因は窒素肥料がもたらすアンモニア塩が大気中の微粒子を増加させているため。また温暖化への影響も、トウモロコシ1トン当たり15ドル相当の被害が出ている。現在、米国のトウモロコシの栽培面積は約3700万ヘクタールで、その約9割がGMトウモロコシである。〔Nature Sustainability 2019/4/19〕


●カナダにおける深刻なGM汚染が明らかに

 カナダの市民団体の「カナダ・バイオテクノロジー行動ネットワーク(CBAN)」と「有機農業保護基金(OAPF)サスカチュワン州オーガニック」は共同で、カナダにおける25年間のGM作物栽培がもたらした影響に関する報告をまとめた。1996年にGM作物が導入されて以来、GMナタネ、GM大豆、GMトウモロコシ、GMテンサイ、GMアルファルファが栽培され、GM鮭の養殖がまもなく始まる。また、未承認GM小麦やGM亜麻などの違法栽培が発覚し、GMブタの脱走も起きた。その結果、ナタネの場合、広範囲なGM汚染によって有機ナタネが栽培できなくなった。GM亜麻の汚染はヨーロッパ市場からの撤退をもたらした。今後、GMアルファルファ栽培やGM小麦の試験栽培がもたらすであろう汚染によって、農民が影響を受けることが懸念される。〔CBAN 2019/3/26〕