■2019年6月号

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バイオジャーナル

ニュース


●北米事情
●グリホサート訴訟、3件めの判決も被害者勝訴

 5月13日、カリフォルニア州アラメダ郡の裁判所の陪審は、除草剤ラウンドアップの主成分グリホサートが癌を引き起こしたとして訴えていた裁判で、モンサント社を買収したバイエル社に対して20億5500万ドル(約2200億円)の支払いを命じた。内訳は、被害者夫妻に対して5500万ドルの損害賠償と、1人当たり10億ドルの懲罰的損害賠償。夫である76歳のアルバ・ピリオドは2011年に、74歳の妻アルバータ・ピリオドは2015年にともに非ホジキンリンパ腫の診断が下された。この結果、グリホサートと癌をめぐる裁判は3件連続被害者側が勝訴した。〔AFP 2019/5/14〕
ピリオド夫妻以外にも、現在約1万3400件の訴訟が起こされており、今後もバイエル社の損害賠償が拡大することが予想される。この評決を受けて、バイエル社の株価は6.8%下落し、昨年6月のモンサント社買収以来、約40%下落している。〔Reuters 2019/5/13〕

●非GM飼料として販売されるゲノム編集大豆

 米国カリクスト社が開発したゲノム編集技術応用食品の高オレイン酸大豆の普及が拡大している。カリクスト社は、ミネソタ大学教授ダン・ボイタス(Dan Voytas)が共同設立したベンチャー企業である。ダン教授の研究に基づき、2つの脂肪酸合成にかかわる遺伝子を破壊してオレイン酸を80%増やし、飽和脂肪酸を20%減少させたという。すでに中西部のファストフードのチェーン店で食用油「カリノ(Calyno)」が健康を売りに使用され、100以上の提携農家で栽培が進められている。さらにカリクスト社は、飼料用大豆の商品化を進めることを明らかにした。米国ではゲノム編集食品はGMO規制を免れていることから、同社は非GMOの飼料として売り込みを図る予定である。〔The Minnesota Daily 2019/4/23〕


●欧米間の自由貿易交渉でゲノム編集が焦点に

 4月15日、欧米間で自由貿易協定交渉がスタートしたが、その中でゲノム編集技術規制が焦点になっている。EUは、農業分野は交渉の課題に入っていない、米国は入っていると主張している。その違いをもたらしているのが、関税障壁の問題には農業分野は含まれないが、非関税障壁の問題には農業分野は含まれるからである。そこでにわかに問題となってきたのが、ゲノム編集技術を用いた農作物の扱いで、両者の間では、非関税貿易障壁の撤廃あるいは削減が確認されており、米国がEUの表示や規制が非関税貿易障壁に当たるとして、撤廃や緩和の圧力を強めてくる可能性が強いと見られている。〔LATP 2019/4/15〕


●米国内でグリホサート禁止広がる

 米国カリフォルニア州ロサンゼルス郡が除草剤ラウンドアップの一時使用中止を決定した。同時に健康への影響を調査し、代替案を検討することを求めた。事実上の禁止措置である。同郡によると、現在までに全米50以上の郡がラウンドアップの禁止を決めたという。〔US News & World Report 2019/3/22〕
ニューヨーク市議会の複数の議員は、公園など同市の公共スペースでのグリホサート使用を禁止する法案を市議会に提出した。提出した議員の1人ベン・カルロスは「公園は農薬に曝露される場ではなく、家族が楽しく団欒する場である」と述べている。〔Environmental Health News 2019/4/19〕
ニューメキシコ州でもラス・クルーセス郡がグリホサート禁止に向けて動きだした。すでにフロリダ州マイアミ市、テキサス州オースチン市、ニューハンプシャー州ポーツマスでは公共の施設でのグリホサートの使用を禁止している。ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバーでは公共の施設に加えて家庭でも使用を禁止している。〔Las Cruces Sun-News 22019/4/7〕
大学でもこの動きは広がっている。20万人の学生を擁するカリフォルニア大学は、学長名で全学でのグリホサート使用禁止を命じた。〔Independent Science News 2019/5/16〕


●南米事情
●ベネズエラの政権転覆に多国籍種子企業が関与

 ベネズエラの政権転覆にモンサント(現バイエル)などの種子企業がかかわっていることが明らかになった。ベネズエラの現ニコラス・マドゥロ大統領打倒を策動している米トランプ政権中枢は、シェブロンやエクソン・モービルなどの石油資本とともに、モンサント・バイエルといった種子企業と密接につながった人脈で成り立っている。大統領マドゥロは多国籍種子企業を排除したことで名高く、その転覆を図ろうとしている。〔Mint Press News 2019/5/6〕


●ボリビアがGM大豆量産へ

 ボリビア政府は3月18日、バイオ燃料生産目的でGM大豆栽培を承認した。副大統領、炭化水素省の大臣も出席した、大統領と民間企業家の会談の最中に発表された。すでに2018年9月にバイオ燃料を量産する政策を打ち出しており、今後、大豆の大幅増産が見込まれている。〔ISAAA 2019/4〕

●欧州事情
●ゲノム編集生物も追跡可能

 EUでは、ゲノム編集で遺伝子を操作した作物などの生物が、追跡可能かどうかを議論してきた。2018年9月の欧州委員会の質問にデュポン・パイオニア社が回答し、欧州委員会と共同署名した文書で公開された。それによると、最初の段階でゲノム編集にかかわる情報が提供されていれば検出は可能である、としている。情報が提供されていなくても可能だが、遺伝子組み換え食品の分析に用いられるPCR法に比べて時間と費用はかかるという。〔Inf’OGM 20019/4/28〕


●英国で新しいGMジャガイモが野外試験へ

 ゲノム編集と遺伝子組み換えを組み合わせた新たなジャガイモの栽培をめぐり、英国内で反対運動が強まっている。このジャガイモは、セインスベリー・ラボラトリーが開発したもので、複数の遺伝子を挿入した上にゲノム編集で特定の遺伝子を壊した。そのジャガイモの野外試験栽培計画に、GMフリーズ、地球の友(FoE)、GM Watchほか多くの環境保護団体や農業団体などが、環境影響評価が不十分であるなどの理由で栽培試験反対声明を出した。〔GM Watch 2019/4/16〕