■2019年6月号

今月の潮流
News
News2


今号の目次へ戻る
ジャーナル目次へ戻る






























バイオジャーナル

ニュース


●アジア事情
●ベトナムがグリホサート輸入禁止

 ベトナム政府がグリホサートの輸入禁止を打ち出した。農業農村開発省の植物防疫局長ホアン・チュン(Hoang Trung)は3月23日、トゥオイ・チェ(Tuoi Tre)紙に、グリホサート系の除草剤の輸入を直ちに禁止すると述べた。ただし、現在流通しているものに関しては通常通り販売できる。同国は2017年に、スイス・シンジェンタ社の除草剤パラコートや米国ダウ・ケミカル社の除草剤2,4-Dの輸入禁止を打ち出している。4月10日、同省は正式に禁止した。〔Sustainable Pulse 2019/3/25〕

●インドでBtナスが違法栽培

 インドでBtナスの違法栽培が見つかった。4月25日、市民団体GMフリー・インド連合は記者会見を開き、Btナスが見つかったハリアナ州政府と中央政府に対応を求めた。インドでは2010年2月、モンサント社のインド法人マヒコ社の報告に基づき検討した結果、安全性に重大な懸念があったため、無期限でBtナスの商業栽培を禁止している。〔Coalition for GM Free India 2019/4/25〕


●RNA干渉ジャガイモ抗議で日韓台の共同声明

 日本と韓国、台湾の反GMOに取り組む市民団体が5月18日の「反モンサント・デー」で、シンプロット社のRNA干渉法で開発したジャガイモに抗議して、共同声明を発表した。このジャガイモに関しては、韓国は承認寸前にあり、台湾でも承認される可能性が強まっている。日本では食品としての流通がすでに承認されているが、カルタヘナ法の承認を得ていないため栽培はできないが、フライドポテトやポテトチップスのような加工品が輸入される可能性が高い。そのため日本消費者連盟などは、ファストフード店やファミリーレストランに使用しないよう求めている。

●除草剤
●グリホサートによる次世代以降への影響

 グリホサートが次世代、次々世代に影響をもたらすという研究が発表された。ワシントン州立大学のマイケル・スキナーらの研究チームの行なった実験で、グリホサートに曝露したラットの子孫に前立腺、腎臓、卵巣の疾患や、出生異常が見られた。原因は、精子でのエピジェネティックな変化がもたらした遺伝子の機能の変化と見られる。第2世代では肥満に加えて、精巣、卵巣、乳腺の疾患が著しく増加していた。第3世代では、雄に前立腺の疾患が増え、雌に腎臓の疾患が増えていた。2世代めの母親の3分の1は妊娠せず、3世代めでは雌雄合わせ5分の2が肥満だった。〔Nature Scientific Reports 2019/4/23〕


●グリホサートと肝疾患

 カリフォルニア大学サンディエゴ校のポール・ミルズらと、非アルコール性脂肪肝疾患研究センターの協力で行われた研究で、非アルコール性脂肪肝疾患の患者の尿はグリホサート濃度が高いという結果が出た。この研究は、2017年に発表された、英国ロンドン大学キングスカレッジのマイケル・アントニオらが行なった、4μg/kg/日という、ごく微量のグリホサートを2年間摂取し続けたラットが非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)になったという研究を受け継ぐもの。以前、ドイツで乳牛を用いて行われた研究では、尿中の濃度と臓器の濃度ではそのレベルが近いことが示されている。ポール・ミルズらは、グリホサートと肝疾患の関係は明白であり、残された課題は、グリホサートの何が肝疾患をもたらすかである、と述べている。〔Clin Gastroenterol Hepatol 2019/4/4〕



●省庁動向
●群馬県蚕糸技術センターがカルタヘナ法違反

 環境省と農水省は5月7日、群馬県蚕糸技術センターに対して、カルタヘナ法に基づく安全審査をしないままGM蚕を使用していたことに対して行政処分を行なった。この蚕はクラゲの発光遺伝子を導入したもので、緑色に発光する絹糸を作り出す。センターは、承認を受けていない系統の蚕を使用し、すでに養蚕農家へも搬出されていた。