■2019年7月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

ニュース


●オセアニア事情
●豪州で初のグリホサート訴訟

 オーストラリアでも、グリホサートが原因でがんになったとする被害者が訴訟を起こした。同国では最初の訴訟である。提訴したのはメルボルンの庭師のマイケル・オガリロロさんで、18年以上にわたりグリホサートに暴露し続けた結果、非ホジキンリンパ腫に罹患した。これに対してバイエル・オーストラリア社は、訴状を受け取っていないとしてコメントを避けた。〔The Age 2019/6/3〕


●除草剤
●グリホサート禁止国17か国へ

 市民団体「サステイナブル・パルス(Sustainable Pulse)」の調査で、グリホサートを禁止あるいは厳しい規制を行なっている国が17か国に達したことが明らかになった。〔Sustainable Pulse 2019/5/28〕
ヨーロッパ ベルギー(販売禁止)、チェコ(厳密な使用制限)、デンマーク(作物の発芽後の使用禁止)、フランス(公共の施設及び農業での使用禁止)、イタリア(公共の施設での使用及びプレハーベスト農薬としての散布禁止)、オランダ(非事業体への販売禁止)
中東 オマーン、サウジアラビア、クウェート、アラブ首長国連邦、バーレーン、カタール(すべて、輸入及び使用禁止)
アフリカ マラウイ(輸入停止)
中米 バミューダ島(使用禁止)、セントビンセント・グレナディーン諸島(使用中止)
アジア ベトナム(輸入禁止)、スリランカ(輸入禁止、のちに茶とゴム園の使用のみ輸入認める)


●遺伝子組み換え作物
●貯蔵後のゴールデンライス、栄養価が低下

 GM稲の一番手としてアジア各国で栽培が準備されているゴールデンライスに、新たな問題が発覚した。この稲は、ビタミンAの前駆体であるベータカロチンを増やし、栄養価の高さをうたっている。しかし、そのベータカロチンが急速に分解されてしまい、ビタミンA不足の解消にならないことがわかった。ゴールデンライスはそもそもベータカロチンが高濃度で含まれているわけではなく、ニンジンや緑黄色野菜にくらべても少ない。その少ないベータカロチンが早く分解してしまえば、まったく役に立たないことになる。実験を行なったのはインド・ニューデリにあるインド農業研究所(ICAR)のA.K.シンらで、4度で6か月貯蔵したところ、ベータカロチンが68〜79%低下した。25度では6か月で80〜84%も低下していた。調理を行うと、さらに17〜24%低下し、ほとんど目的に達しないことが判明したのである。〔Food Chemistry 2019/4/25〕


●省庁動向
●日本政府、ゲノム編集食品規制なしで幕引き

 ゲノム編集食品の表示について検討を加えてきた内閣府消費者委員会は、消費者庁も加わった6月20日の会合で審議を打ち切り、「表示しない」ことを決定した。この結果、カルタヘナ法に基づく環境影響評価、食品衛生法に基づく食品の安全審査、そして食品表示法に基づく表示のすべてで規制が行われないことになった。政府は、7月2日から12日にかけて全国5か所で一般への説明会を開催し、幕引きを図る。最終的に表示もされないため、ゲノム編集食品にかんして、消費者は知ることも選ぶこともできない状況になったことから、日本消費者連盟を中心に、ゲノム編集食品の安全審査と表示を求める100万人署名運動が始まった。