■2019年8月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

今月の潮流●続々と商業生産始まるゲノム編集作物

 米国のベンチャー企業サイバス社は、ゲノム編集ナタネ種子「ファルコ(Falco)」4品種の販売をまもなく開始すると発表した。「Non-GMO」として販売を開始した、カリクスト社のゲノム編集作物の高オレイン酸大豆に倣って、「Falco」も「Non-GMO」として販売される。「Falco」はスルホニルウレア系除草剤に耐性をもたせたもの。同社によると、このナタネの利点は除草剤ラウンドアップ耐性のスーパー雑草対策になり、ラウンドアップ耐性大豆との輪作に適しているという。さらに除草剤耐性以外の性質ももたせる予定。同社は穀物メジャーのカーギル社と組んでおり、広範に販売することが予想される。〔GM Watch 2019/6/21〕


日本では、ゲノム編集食品の法規制の審議が終了し、7月2日から12日にかけて全国5か所で一般説明会を開催した。これによりDNAを切断して遺伝子を壊すだけの操作に関しては、カルタヘナ法に基づく環境影響評価、食品衛生法に基づく食品の安全審査、そして食品表示法に基づく表示のすべてで規制が行われないことになった。ゲノム編集作物の第1号商品は、米国から輸入されるカリクスト社の高オレイン酸大豆が確実で、「Falco」がそれに続く見込み。高オレイン酸大豆は「健康に良い」ことをアピールするため分別されるだろうが、除草剤耐性ナタネは一般のナタネに混ざってしまうため分別は不可能である。

次々とゲノム編集作物を開発しているカリクスト社はすでに、2016年にウドンコ病抵抗性小麦、2018年に高食物繊維小麦について、米国農務省から規制や安全性評価の対象としないという了解を得ており、2020年にも栽培が開始される。大豆とナタネの次は小麦が日本に輸入されることになる。