■2019年8月号

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バイオジャーナル

ニュース


●アフリカ事情
●ナイジェリアの市民団体がGMキャッサバに抗議

 ナイジェリアでは、母なる大地の健康基金(HOMEF)、GMOフリー・ナイジェリアなど43の市民団体が、国家バイオセーフティ管理局に対し、ナイジェリア根菜研究所が開発を進めているGMキャッサバについて、申請を認めないよう求めた。このGMキャッサバは、鉄、亜鉛が高レベルで蓄積する、ナイジェリアに多い病気「キャッサバ・ブラウン・ストリーク病(CBSD)」に耐性を持たせたもの。しかし、その仕組みは非公開で、生物多様性への影響や人の健康への影響も評価されず、とても承認できるものではない、と市民団体は指摘している。〔Leadership 2019/6/26〕



●除草剤
●ジカンバとグリホサートの混合使用は揮発性が増す

 除草剤ジカンバにグリホサートを添加すると揮発性が高まり、より拡散することが判明した。ラウンドアップの主成分グリホサート耐性の雑草が増えたため、グリホサートとジカンバの混合除草剤の使用が増えている。この実験を行ったのは、テネシー大学のトム・ミュラーらで、ジカンバ単独に比べ、ジカンバにグリホサートを混入するとジカンバの空気中濃度が3〜9倍増加していた。〔Weed Technology 2019/6/6〕

●ゲノム編集
●ゲノム編集で農薬耐性ミツバチを開発

 韓国でゲノム編集を用いて農薬耐性ミツバチの開発が進められている。発表された論文によると、殺虫剤スピノサドへの耐性を持つとあるが、効果については記載されていない。今年に入り、米国でも女王蜂の発生をゲノム編集で操作して、群れの崩壊を防ぐことができないか、調査が行われていることが明らかになっている。これらの研究について自然保護団体は、群れの崩壊が問題になっているミツバチについては、生態系の保護こそが優先させるべきである、と指摘している。〔Test Biotech 2019/7/3〕


●ゲノム編集家畜をめぐる円卓会議

 急速に応用が進むゲノム編集家畜をめぐる円卓会議が英国で開催された。参加したのはバイオテクノロジー研究者、倫理学者、獣医師、宗教関係者、国会議員などで、終日議論がたたかわされた。会議では、チャットマン・ハウス・ルールと呼ばれる自身の役職や立場に拘束されず自由に発言できる方法がとられた。結論は出なかったが、この間、急速に進むこの技術の影響の大きさを物語る会議となった。〔A Bigger Conversation 2019/6/24〕


●GM昆虫
●ブルキナファソでGM蚊を放出

 ブルキナファソのバナ村で7月1日、マラリアを媒介するハマダラカの減少を目的に、生殖能力を失わせた雄のGM蚊が放出された。この実験は、ビル&メリンダ・ゲイツ財団の支援を受けて、ターゲット・マラリア研究コンソーシアムにより行われた。事前に地元へのリスクを含めたきちんとした説明もなく、アフリカを中心に世界中から抗議声明が出された。〔Abdoulaya Diabate 2019/7/1〕



●省庁動向
●新系統の未承認GM小麦発覚でも農水省は輸入停止せず

 7月12日、米国ワシントン州内でまたも未承認GM小麦の自生が見つかった。品種は、いずれもグリホサート耐性の「MON71300」「MON71800」。71300は新系統で、従来の検査方法では検出できない。このような場合、いままでは農水省はいったん輸入を停止し、検査方法を確立した上で、チェックを行なっていた。しかし今回は、従来の検査方法PCR法ではなく、遺伝子組み換えの混入を10分程度で判別できる簡易検査法「ラテラルフロー法」での検査が可能だとして、輸入は停止しなかった。農水省が日米貿易交渉への影響を懸念したものと思われる。〔日本農業新聞 2019/7/18〕


●ゲノム編集食品、厚労省・農水省がパブコメ開始

 厚労省は6月27日、農水省は6月28日、GM作物や食品とは異なるとして、法規制の対象外としたゲノム編集作物や食品について、一般からの意見募集(パブリック・コメント)を開始した。厚労省は、食品衛生法上の規制の対象外とした、ゲノム編集食品や食品添加物の届け出の仕組みについて提案。農水省は、カルタヘナ国内法の適用外とした、ゲノム編集生物の情報提供の仕組みについて提案した。この一般からの意見回答をもって、ゲノム編集作物の国内栽培や輸入が始まることになる。