■2019年12月号

今月の潮流
News
News2


今号の目次へ戻る
ジャーナル目次へ戻る





























バイオジャーナル

ニュース


●北米事情
●米国のグリホサート訴訟、4万件超える

 米国で続くグリホサート訴訟はついに4万件を超えた。今年7月の段階では1万8400件だったが、現在では4万2700件を超えている。バイエル社はいまだ集団和解案を提示しておらず、さらに訴訟が増える可能性がある。バイエル社はモンサント社を買収して以降、株価が下落し続け、底なし沼にはまってしまっている。〔Farm Weekly 2019/10/31〕

保留の末、米国科学振興協会がスリランカ人医師らに賞授与

 今年3月、米国科学振興協会(AAAS)は2019年の「科学の自由と責任賞」に、スリランカで多発した腎臓病の原因がグリホサート系農薬にあることを突き止めた2人の科学者、公衆衛生の研究者サラス・グナティラーケ(Sarath Gunatilake)と、スリランカの医師チャンナ・ジャヤスマーナ(Channa Jayasumana)に授与した。しかし、農薬企業による圧力の前に2日後、決定を保留した(本誌2019年3、4月号参照)。9か月かかった調査の結果、AAASは2人の科学者の研究成果は正当なものと評価し、同賞を授与した。〔GM Watch 2019/11/5〕


●欧州事情
●EU離脱後、英国政権が農薬とGMOの規制を緩和

 EU離脱後、英国のボリス・ジョンソン政権が農薬とGMOの規制を緩和することが、内部文書で明らかになった。すでにEU離脱後に労働者の権利と環境保護を大幅に削減すると述べており、その中に示されていた。〔The Independent 2019/10/26〕

●アジア事情
●タイではグリホサートなどの3農薬を禁止に

 タイ政府は、米国が懸念を表明したにもかかわらず、グリホサートなど3種類の農薬を禁止する。禁止対象農薬は、パラコート、グリホサート、そしてクロルピリホスである。副首相兼保健相アヌティン・チャーンウィーラクーン(Anutin Charnvirakul)は、「米国は貿易への影響を懸念しているが、タイ政府は消費者への影響を懸念して決定した」と述べた。タイではこの3種類の農薬の有害ランクを12月1日から引き上げ、禁止を実行する。〔Bangkok Post 2019/10/25〕
この政府の決定に対して消費者は支持、農業団体は反対の声明を発表した。コメ輸出業協会の会長チャロエン・ラオサマタス(Charoen Laothamatas)は、タイのお米のイメージアップにつながるとして、全面的に支持する声明を出した。〔Bangkok Post 2019/11/9〕


バングラデシュがゴールデンライス栽培を決定

 バングラデシュ政府は、ノーベル生理学・医学賞受賞者リチャード・ロバーツ来訪時に、GM稲のゴールデンライスを栽培することを決定した。ロバーツはバイオテクノロジーの推進者で、ゴールデンライスの普及に取り組んでいる。これに対してアジアの市民・農民団体30団体以上の連合体であるストップ・ゴールデンライス・ネットワークは、抗議するとともに、栽培を認可しないよう同国政府に求めた。〔Stop Golden Rice! Network 2019/11/15〕

●オセアニア事情
●豪州の有機認証機関、ゲノム編集作物の有機許容に懸念

 米国連邦議会農業委員会で、農務副長官が有機農業推進にゲノム編集技術を用いる意向を示して以来、世界に波紋が広がっている。オーストラリアの有機食品市場は年間15%の増加を示し、30億ドルの市場規模に達している。オーストラリアの有機認証機関National Association for Sustainable Agricultureは、もしゲノム編集食品を有機として認めれば、成長著しい大きな市場が危機にさらされる、と懸念を表明した。〔National Association for Sustainable Agriculture 2019/11/11〕