■2019年12号

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バイオジャーナル

ニュース


●除草剤
●母親の残留農薬は赤ちゃんにも影響する

 米国で続くグリホサート訴訟以降、残留農薬検査が広がっている。母親の髪の毛から検出される農薬と、生まれてくる赤ちゃんの体内汚染との深いかかわりが調査の結果判明した。仏レンヌ大学のレミ・ベレンジャーラが、「国際衛生学・公衆衛生誌(International Journal of Hygiene and Environmental Health)」誌に発表したこの研究は、64種類の農薬とその代謝物について、母親の毛髪検査結果と新生児の測定値を見た。数値はELFE(フランスの全国コホート・データ)を用い解析した。その結果、7種類の農薬とその代謝物で、母親の髪の毛と新生児の出生の際の数値の間に、統計的に有意な関連性が見いだされた。男の子の場合は、加えて12種類の農薬で有意な関連性が見いだされた。合わせて19種類の農薬が、母親と赤ちゃんへの汚染に関連していることがわかった。〔International Journal of Hygiene and Environmental Health 2019/11/8〕

●グリホサートがミツバチに悪影響を及ぼす

 グリホサートはミツバチの感覚や認知能力を奪い、働きバチの採餌能力を損ない、巣に悪影響を及ぼすことが明らかになった。アルゼンチンのブエノスアイレス大学ウォルター・M・ファリーナ等が、雑誌「昆虫(Insects)」(2019年10月18日号)に発表した論文によると、グリホサートはミツバチの学習能力や認知能力、感覚能力に影響を与え、子どもの発達遅延を促進していた。〔Insects 2019/10/18〕


●ゲノム編集
●新たなゲノム編集「プライム編集」の問題点

 新たなゲノム編集技術「プライム編集」技術が登場し、研究者はオフターゲットのような間違いが起きにくくなったと述べている。ゲノム編集がDNAを2本鎖ごとに切断するのに対して、プライム編集では1本鎖を切断し、そこに短いDNAを挿入したりDNAの一部を削除して遺伝子を壊す。プライム編集の登場によって、オフターゲットなどの問題が解決されたのかというと、依然として間違いは起きやすく、作物や食品への応用には疑問がある、とGMOフリーUSAのクレア・ロビンソンは指摘している。〔GM Watch 2019/11/1〕


●省庁動向
●豚コレラ対策

 農林水産省は、豚コレラが拡大しコントロールが難しくなったため、ワクチン接種を認めた。また、アフリカ豚コレラ・ウイルスが成田空港などの利用客の豚肉製品から相次いで見つかり、侵入が間近いことも明らかになった。そのため防疫対策本部を設置し、10月18日に最初の会合を非公開で開催、対策を強化していく。
11月12日農水省は、豚コレラという呼称が消費者の不安を招き、豚肉消費に影響が出るのを防ぐために、呼称変更を通達した。豚コレラはCSF(Classical swine fever)に、アフリカ豚コレラはASF(African swine fever)とし、それにともない上記対策本部名称も、「農林水産省CSF・ASF防疫対策本部」となった。


●日本ではゲノム編集作物は有機認証せず

 米国の有機農業推進にゲノム編集技術を用いる動向を反映して、日本でも独立行政法人・農林水産消費安全技術センターで9月30日からゲノム編集を有機認証でどう扱うか、について検討会を開催した。11月8日、正式にゲノム編集作物については有機認証しない方針を示し、一般からの意見募集を開始した。しかし検討会は継続されており、例外を認める可能性もあり、正式決定には至っていない。