■2020年1月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

ニュース


●アジア事情
●フィリピン政府がGMイネを承認

 フィリピン農務省植物産業局は、国際稲研究所(IRRI)とフィリピン稲研究所によって開発がすすめられていたGMイネ・ゴールデンライスを安全と評価し、食品や飼料として承認した。2018年にはニュージーランド、カナダ、米国がゴールデンライスを安全と評価しており、現在、バングラデシュが評価中である。しかし、どのような実験の結果評価したのかは明らかにされていない。〔IRRI 2019/12/18〕

●タイがグリホサート禁止を撤回

 12月1日から施行予定であった、3種類の農薬パラコート、クロルピリフォス、グリホサートの禁止について、11月27日、タイ産業大臣のスーリヤ・ジュンルンルアンキット(Suriya Juangroongruangkit)は禁止を撤回し、前二者に関しては施行を6月1日に延期、グリホサートについては禁止を撤回し、国家有害物質委員会に指示した。それを受けて同委員会は延期と撤回を決定した。これは米国政府の圧力に屈した形である。決定を受けて、同委員会メンバーのチュラロンコン大学リンパナポン准教授が委員を辞任した。〔The Thaiger 2019/11/28〕



●欧州事情
●オーストリアのグリホサート禁止法案、首相が署名拒否

 オーストリアのブリギッテ・ビアライン首相は、2019年7月に可決成立した、2020年1月1日施行予定のグリホサート禁止法案に署名しないと議会議長宛に通知した。首相は、署名しなかった理由に、EUが適切な通知を行わなかったことをあげている。法案成立を主導した社会民主党は「理解不能」と批判し、禁止へ向けて再度取り組むとしている。〔Reuters 2019/12/9〕

●仏国立保健機関がグリホサート製品の認可取り消し

 フランスの保健機関である国立食品環境労働衛生安全庁(ANSES)は、36種類のグリホサート製品の認可を取り消し、4種類の新製品を認可しないことを決定した。同国では現在、69種類のグリホサート製品が販売されているが、今回取り消された36種類は重量比でその4分の3を占めている。また、現在申請中の新製品は11種類あり、残る7種類についても、2020年12月31日までに結論を出す予定である。〔ANSES 2019/12/9〕


●北米事情
●カナダのラウンドアップ集団訴訟

 健康被害の問題に取り組んでいるカナダの法律事務所「Diamond & Diamond」が、バイエル社などを相手取って5億ドルの集団訴訟を起こした。現在は60余人が原告だが、被害者は数千人規模と考えられている。同弁護士事務所は、この訴訟は損害賠償を求めるだけでなく、企業の方針を転換させるためのものである、と述べている。〔CBC News 2019/11/20〕

●深刻化する米国の除草剤ジカンバ被害

 除草剤ジカンバによる多大な被害が3年続く米国では、「ジカンバ疲れ(Dicamba Fatigue)」に陥っている。被害は大豆にとどまらず、それ以外の作物、樹木、人々の健康に及んでいることが、バージニア州アーリントンで開催された州の農薬規制当局が参加した会議(SFIREG)で各州から報告された。米国農薬規制当局者協会(AAPCO)の調査では、2019年の被害は19の州で約1400件に達している。そのほとんどは大豆生産地の10州で占められているが、この数値は実際の被害よりもかなり低いものだという。〔DTN Progressive Farmer 2019/12/9〕
ジカンバの被害実態が明らかになるなか、インディアナ州では、2020年6月20日以降ジカンバの使用を禁止する。この決定は、過去3年の被害を分析した結果である。〔Indiana Prairie Farmer 2019/11/22〕

●米国政府がGM食品表示制度を開始

 米国政府はGM食品表示規則を制定し、GM食品に関する新たな表示制度を開始した。しかし、表示対象外の食品が多く、「GMO」ではなく「Bioengineered」という言葉が用いられ、しかもQRコード使用が認められているため、消費者にはわかり難いものとなっている。〔Denton Daily 2019/11/22〕