■2020年2月号

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バイオジャーナル

ニュース


●ゲノム編集
●中国のゲノム編集赤ちゃん誕生に判決

 中国深センの裁判所は2019年12月30日、世界で初めてヒトの受精卵にゲノム編集を施し、双子の赤ちゃんを誕生させた賀建奎元南方科技大学副教授に対して、懲役3年、300万元(約4700万円)の罰金の支払いを命じた。賀元副教授は、中国広東省深セン市にある南方科技大学在職当時、HIVに感染しにくいように遺伝子を操作するゲノム編集技術を施し、その後3人目の赤ちゃんも誕生していた。これ以上の赤ちゃんの誕生はないと見られる。
医師の資格のない賀元副教授は、同省内の医療機関に勤めるやはり医師の資格のない2人と共謀し、受精卵のゲノム編集を行なった。夫がHIVに感染した被験者夫婦を募集する際は偽造した倫理審査文書を使い、改変した受精卵を子宮に戻す手術を担当した医師もだましたという。共犯の1人には懲役2年の実刑、もう1人は懲役1年6月、執行猶予2年の判決が下された。〔jiji.com 2019/12/30〕


●iPS細胞
●iPS細胞に異常みつかる

 京都大学iPS細胞研究所のiPS細胞備蓄提供事業で、提供した27株中4株のiPS細胞の検査が終わり、そのうち2株に異常がみつかった。提供先が細胞を培養・分化したところ、がん化に関連する遺伝子の異常などがみつかり、しかも同時に作られた細胞でも異常の有無や内容が異なっていた。今後のiPS細胞利用に大きな障害となる可能性が大きいとみられる。〔毎日新聞 2020/1/8〕


●北米事情
●モンサント社の本拠地セントルイスでも裁判開始

 モンサント社の本拠地セントルイスで、ラウンドアップ被害者が起こした訴訟の回避を狙って親会社のバイエル社が動いていた。しかし裁判は1月21日に開始された。これまでのラウンドアップ訴訟では、3組4人の原告が勝訴しており、それらの和解交渉の過程で、このセントルイスでの裁判の延期が話し合われていた。一部の弁護士事務所は延期を受け入れたが、それ以外の弁護士事務所が実施を求めたため、裁判は行われることになった。現在までに提訴した人について、バイエル社は4万2000人と述べているが、10万人を超えているという情報もある。〔US Right to Know 2020/1/16〕

●米国環境保護庁がラウンドアップ訴訟に介入

  米国環境保護庁(EPA)は司法庁と協力して、ラウンドアップによる被害者の訴訟に介入し、カリフォルニア州が求めている「ラウンドアップはがんをもたらす」という警告は必要なく、これまでの下級裁判所での判決は覆されるべきである、とする書類を裁判所に提出した。加害者のバイエル社を支持するこの書類は、今後行われる上級裁判所での審理に影響する可能性がある、と法学者は指摘している。〔Reuters 2019/12/21〕