■2020年4月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

今月の潮流●新育種技術で新しい形のバイオパイラシー

デジタル・シーケンス情報(DSI)を利用したジャガイモの開発は新しい形のバイオパイラシー(生物学的略奪)であると、2月28日、ペルーのクスコで南米アンデスとアフリカの農民が集会を開催した。このジャガイモは、ペルーのリマに拠点を置く国際ジャガイモセンター(CIP)が、国際的なDSIデータベースである米国生物工学情報センターのジェンバンク(Genbank)から取得した情報を用いて、新植物育種技術の1つ「シスジェネシス」で開発した。シスジェネシスとは、ナタネ同士のような同種、あるいはナタネとカラシナのような交雑可能な近縁種の遺伝子を導入するGM技術。今回のジャガイモは、ペルーで収穫されたジャガイモの近縁種のDSIを用いている。ジャガイモの原産地アンデスでは、農民が長い歳月をかけて品種改良を繰り返し、病気に強い遺伝子を持つジャガイモを開発してきた。にもかかわらず、その遺伝子情報の「知的所有権」を取得して、新植物育種技術により病気に強いジャガイモを開発したのである。ペルーではGM作物栽培が禁止されているため、ルワンダをはじめとする東アフリカでの販売を見込んでいる。〔African Centre for Biodiversity 2020/3/6〕