■2020年7月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

今月の潮流●問題の多いゲノム編集イネ

中国とオーストラリアの共同研究チーム開発のゲノム編集イネに、新たな問題が起きていた。アデレード大学と上海交通大学が共同で設立した研究所のスクマール・ビスワスらは、緑の革命をもたらした半矮性遺伝子(SDI)を、4世代にわたってCRISPR-Casが活動するようにして、収量の多いイネを開発した。しかし、このゲノム編集イネには、DNAの大きな断片が挿入されたり、削除されたり、再編成されるなど、さまざまなオフターゲットが起きていた。収量増に関しては、むしろ減少する結果となっていた。結論として「道のりは遠い」と評価している。〔Journal of Genetics and Genomics 2020/5/21〕

この結果について英国の分子遺伝学者のマイケル・アントニオは、「遺伝子機能の予測不能な変化がイネの生化学的変化につながったもので、食品となった際には新たな毒性やアレルゲンを誘発し、健康リスクをもたらす可能性は充分あり得る」と述べている。〔GM Watch 2020/6/9〕