■2020年10月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

今月の潮流●米国からポテトチップス用GMジャガイモ輸入の可能性

2020年、日米間で自由貿易(FTA)協定に基づく貿易の促進が始まった。2月には、これまで厳しく制限されてきた生のジャガイモの輸入が一部解禁され、さらに全面輸入解禁に向けた協議が始まった。この時、認められたのは、ポテトチップス用だけだが、このまま進めば全面的に解禁されることになる。そうなると、スーパーのジャガイモのコーナーに、米国から大挙して押し寄せるジャガイモが並ぶ可能性も出てくる。

6月、生のジャガイモの輸入解禁に合わせて、米国からの輸出時にジャガイモの表面に塗る殺菌剤の農薬が新たに認められた。まだポテトチップス用に限定されているとはいえ、すでに農薬漬けのジャガイモが輸入されている。これまで米国からの生ジャガイモの輸入が認められてこなかったのは、病害虫であるセンチュウの流入を防ぐためであった。新たに使用が認められた農薬はいずれも殺菌剤で、すでに2011年から柑橘類などへの使用を認めてきた「フルジオキソニル」のジャガイモへの適用拡大と、ジャガイモのみ適用の「ジフェノコナゾール」である。

さらに、米国JRシンプロット社のGMジャガイモも生で入ってくる可能性が出てきた。このGMジャガイモは、RNAを用いて遺伝子の働きを壊す、「RNA干渉法」という独特の方法が用いられている。米国で栽培が進んでおり、日本でも食品安全委員会が安全だと評価し、厚労省が2017年7月20日に食品として流通を承認している。