■2020年10月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

ニュース


●北米事情
●GM鮭販売開始を前に、米国大手スーパーは軒並み拒否

 GM鮭の販売開始を前に、食品を扱う米国の大手スーパーチェーンが相次いで、この鮭を扱わないと宣言した。ウォルマート、コストコ、クローガー、ホールフード、マイヤー、ターゲット社などで、大手企業が名前を連ねている。このGM鮭は、米国では2015年に販売が認められ、2019年にGM食品表示制度ができたことで障害がなくなり、いつ流通が始まるかが焦点になっている。〔Friends of the Earth 2020/9/2〕

●グリホサート訴訟、バイエルが法律事務所と和解合意

 独バイエル社によるグリホサート訴訟での全面的な和解工作は失敗したが(本誌2020年8月号参照)、同社は個別の和解工作を進めていた。その結果、3つの大手法律事務所、カリフォルニア州のバウム・ヘドルンド・アリスティ&ゴールドマン法律事務所、コロラド州のアンドラス・ワグスタッフ社、ケンタッキー州のムーア法律グループとの間で9月14日、和解が合意に達した。〔US Right to Know 2020/9/15〕

●アジア事情
●インドのBtナス試験栽培承認取り消しを求める動き

 インドのGMO承認機関である遺伝子工学評価委員会(GEAC)は、今年5月19日にBtナスの野外栽培試験を承認したが、専門家の間で承認取り消しを求める動きが強まっている。このBtナス「イベント142」は、ポルメトラ・アナンド・クマールとインド農業研究所植物バイオテクノロジー研究センターによって開発されたものであるが、GEACの承認にあたって安全性評価のデータがまともに示されておらず、加えてインドにおいてこのナスが必要か否かの評価も示されていない。そのため専門家の間で、この承認は無効である旨の発言が相次いでいる。〔Down to Earth 2020/8/28〕

●インドが主要作物の輸入に際して非GMO証明を義務化

 インド食品安全基準局(FSSAI)は8月21日、来年1月1日より、主要24作物の輸入にあたって、非GMOの証明を求めることになった。主要作物には米、小麦、トウモロコシ、大豆といった穀物、リンゴ、メロン、パイナップルなどの果実、ジャガイモ、サトウキビ、ピーマン、カボチャなどが含まれている。同基準局によると、GM食品に対する規制が確立するまでの暫定措置だという〔The Hindu Business Line 2020/8/24〕

●アフリカ事情
●ケニアでGMキャッサバ栽培計画

 ケニアでGMキャッサバの栽培計画が進められている。このGMキャッサバは、RNA干渉法を用いて、キャッサバ・ブラウン・ストリーク・ウイルス(CBSV)に耐性をもつよう改造したものである。計画はウガンダとケニアの研究者によって推進されており、それを支えているのが、モンサント社などが設立し、アフリカへのGMO売り込みの最前線にいる米ドナルド・ダンフォース植物科学センターである。〔African Centre for Biodiversity 2020/9/2〕

●ゲノム編集
●ゲノム編集作物の検査可能に

 ドイツの非政府団体のVLOG(非GMO食品協会)などは、ゲノム編集技術で開発されたサイバス社の除草剤耐性ナタネの検査方法が確立されたと発表し、その方法を公開した。世界的にゲノム編集技術を応用した作物や食品は検査方法がないため、安全審査や表示が行われていないが、それを覆す結果となった。この方法を開発したのは米国アイオワ州にある民間の研究機関HRI(Health Research Institute)で、開発のためにVLOG、グリーンピース、米国非GMOプロジェクトなどが資金を出している。この検査方法は、査読を経て『科学ジャーナル・フーズ』誌に掲載された。〔Scientific Journal Foods 2020/9/7〕