■2020年12月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

ニュース


●オセアニア事情
●南オーストラリア州政府がGMOフリー政策を停止

 南オーストラリア州政府は、GMOフリー地域の維持を求める11団体の要求を拒否した。これにより同州では、カンガルー島を除きGMOフリー政策は停止となった。同州は今年4月に、それまで16年間続けてきたGMOフリー政策を停止し、6か月間の猶予を設定していた。それ自体、自由党政権が労働党の要求に応えた妥協の産物だった。〔ABC News 2020/11/2〕
そのためオーストラリアのGMOフリー州はタスマニア州だけになった。同州は2001年以来、GMOフリー政策を続けている。しかし、フリー政策決定以前の1990年代後半から、モンサント社やバイエル社の試験圃場でGMナタネの試験栽培が続いている。圃場は同州政府の監視下にあるものの、中止を求められないでいる。〔Third World Network 2020/11/6〕

●省庁動向
●ゲノム編集作物の後代交配種も届け出なしに

 厚労省は11月11日、ゲノム編集作物の後代交配種について、届け出を義務化せず、任意とした。後代交配種とは、ゲノム編集作物と通常の作物を掛け合わせたもので、大半の食品は後代交配種の形で出回る。この方針により消費者は、ゲノム編集作物かどうか、知ることもできなければ選ぶこともできなくなった。

●BASF社の高DHAナタネの安全性評価始まる

 厚労省と農水省は10月中旬に相次いで、ドイツのBASF社が開発した高DHAナタネについて、食品安全委員会に安全性評価を諮問した。これは食品としては厚労省が、飼料としては農水省が諮問したもの。このGMナタネは、高DHAであるとともに、イミダゾリノン系除草剤耐性の性質も併せ持つ。DHA(ドコサヘキサエン酸)は、健康に良いとされているオメガ3脂肪酸の1つである。オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸は必須脂肪酸であるが、大豆やコーン油に多く含まれているオメガ6の過剰摂取が問題になっているのに対して、青魚やアマニやエゴマに多く含まれているオメガ3は不足が指摘されている。ナタネにもオメガ3は含まれているが少ないため、それを増やし、健康を売り物に栽培や販売を進めるものと思われる。米国ではすでに、ゲノム編集技術を応用した高オレイン酸大豆の栽培、販売が進んでいるが、GM作物の傾向も「健康」にシフトしつつある。