■2021年2月号

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バイオジャーナル

ニュース


●中南米事情
●メキシコがGMトウモロコシの全面禁止令を発布

 メキシコ政府は12月31日、除草剤グリホサートとGMトウモロコシの全面禁止の大統領令を発布した。ロペス・オブラドール大統領は、禁止へ向けて取り組む姿勢をこれまでも示していたが、国家規制改善委員会(CONAMER)によって正式に発表され、大統領令発布に至った。2024年まで段階的に施行し、2024年1月31日に完全禁止となる。この禁止の動きは、環境省によって2020年6月にすでに打ち出されていたが、農業省の反対で進まなかった。〔Sustainable Pulse 2020/12/18など〕

●北米事情
●バイデン政権でGMO推進加速か

 米国では共和党のトランプ政権から民主党のバイデン政権に移行し、その政策の変化が注目されている。農業政策について見ると、バイテク推進に向けた動きが加速しそうである。理由は、オバマ政権時に8年間農務庁長官だった元アイオワ州知事トム・ヴィルサックの再登板である。彼は1997年から2007年までアイオワ州知事を務め、知事時代に同州を一大GM作物生産地にしたことで、米国最大のバイテク推進団体バイオテクノロジー産業協会から2度も「バイテク産業に最も貢献した知事」として表彰され、「モンサントの友人」といわれた人物である。これまでトランプ政権では顕著な動きがなかったGM作物やゲノム編集作物が、推進に転じることは必至と見られる。〔The Guardian 2020/12/21〕


●米国でGM動物規制緩和の動き

 米国政府はGM動物の規制担当局を、食品医薬品局(FDA)から農務省(USDA)に変更することを提案した。USDAは、FDAよりバイオ産業寄りであり、今後承認がスムーズになることが予想される。現在、GM動物で承認されているのは、成長を早めた鮭とアレルギーが起きにくい豚の2種類である。〔GM Watch 2021/1/6〕

●欧州事情
●EU離脱後の英国政府のゲノム編集技術推進政策

 EUを離脱した英国は、欧州司法裁判所が下した「ゲノム編集技術などの新育種技術についてGMOと同じ規制を求める」判決の拘束から外れた。英国ジョンソン政権は発足当初からバイオテクノロジー推進を掲げており、離脱後さっそく、ゲノム編集技術の規制緩和を求める公的な協議会を発足させた。今後、法改正によりゲノム編集技術を規制しないことが検討される。英国がゲノム編集技術の規制を外すことにより、最も影響を受けるのがEU向けの作物を栽培している農家で、英国の農民団体は政府に対し、EUとの間で問題を起こさないよう求めた。〔Sky News 2021/1/10〕
法改正されれば、スコットランド域内でもゲノム編集作物の流通・販売が強制される可能性があるため、予防原則に基づいてGMO並の規制を求めるスコットランド政府も警戒を強め、英国政府に対して警告を発した。〔The National 2021/1/7〕