■2021年6月号

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バイオジャーナル

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●企業動向
●カリクスト社がゲノム編集大豆の事業縮小

 米国のベンチャー企業カリクスト社は、世界で初めてゲノム編集高オレイン酸大豆の種子を販売し、農家に栽培させ、その大豆油の製造・販売をしてきた。しかし、これらの事業で思ったような利益が上がらないことから、大豆油の製造・販売を中止すると発表した。今後は、種子の生産・販売と知財管理だけに事業を限定するとしている。特に問題だったのが収量の低さで、農家に受け入れられなかったことが方針転換の要因という。〔GMWatch 2021/5/7〕

●ゲノム編集作物
●ゲノム編集高GABAトマトの配布始まる

 サナテックシード社は5月中旬、申し込み済みの農家や消費者に対して、高GABAトマトの苗の無料配布を開始した。実際の送付業務は、サナテックシード社の最大の出資会社であるパイオニアエコサイエンス社が行ない、この親会社が事実上、販売を取り仕切っている。同社はさらに、このトマトを用いたトマトピューレの製造販売も計画している。サナテックシード社及び開発者の筑波大学の江面教授は、消費者団体の申し入れに対して、対話を拒否し続けたままである。このまま苗の栽培が進めば、無秩序なゲノム編集作物の拡散になりかねない事態が予想される。

●種苗への「ゲノム編集作物ではない」自主表示

 現在消費者団体などによって、ゲノム編集作物の種苗への表示を求める署名運動が始まっているが、それとは別に、ゲノム編集トマトの無償配布に危機感を持つ有機農家や市民団体が、自主的な表示の検討を始めた。検討会では5月中旬に表示デザインを固め、種子に「NO! GMO」「ゲノム編集でない」を明示し、遺伝子操作作物に反対の意思を示すと同時に、ゲノム編集ではないことを明示するものになっている。

●ゲノム編集ジャガイモについて理研が回答

 ゲノム編集ジャガイモの試験栽培がつくば市にある農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)の圃場で始まった。このジャガイモを開発した理化学研究所は、遺伝子組み換え食品いらない!キャンパーンなどの市民団体が出した質問に対して、5月6日付文書で回答した。それによると、このジャガイモは研究目的で作出したもので、今回の栽培も研究目的であり、実用化はまだ判断していない、としている。