■2021年8月号

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バイオジャーナル

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●グリホサート
●グリホサートは微生物に大きな影響をもたらす
 グリホサートが微生物に及ぼす影響に関する新たな論文の存在が明らかになった。中国の福建農林大学資源環境学部副教授の廖漢鵬(Hanpeng Liao)らが、中国11州のグリホサートを散布している地域と散布していない地域で、土壌中の微生物を遺伝子レベルで調査した。微生物の抗生物質耐性遺伝子(ARG)の増加と、遺伝子の移動(MGEs)の増加を見たもので、グリホサート散布地域では、ARG、MGEsのいずれも増加していた。グリホサートが微生物の生態系に大きな影響をもたらすことが示された。論文は、「Molecular Biology and Evolution」誌38号に発表された。〔Third World Network 2021/7/12〕

●遺伝子組み換え技術
●改質リグニン実証プラントが稼働
 森林研究・整備機構森林総合研究所(森林総研)が開発した代替プラスティック「改質リグニン」を製造する実証プラントが、6月30日、茨城県常陸太田市で試験生産を開始した。脱炭素化に向けて、プラスティックに代わるさまざまな製品への応用が想定されている。このプラントは、リグノマテリア社など7事業者による共同事業体が運営する。リグニンは、セルロース、ヘミセルロースと並ぶ植物骨格成分で、木質系ともいわれ、木材中の20〜30%を占める成分。プラントでは、原料にスギリグニンを用い、ポリエチレングリコール(PEG)で改質する。紙パルプ産業ではリグニンが邪魔になるため、GM技術でリグニンの生合成を抑える研究が進められてきた。そのため、リグニンやリグニンを分解する酵素のリグニナーゼに関しては、樹木分野のバイオテクノロジー研究の最前線にある。今後、改質リグニンの生産効率を高めるために、GM技術やゲノム編集技術での応用が進むものと考えられる。