■2022年4月号

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バイオジャーナル

ニュース


●遺伝子技術
●理研が新たな遺伝子発現技術を開発

 理化学研究所の研究チームが、植物(シロイヌナズナ)にナノ粒子に閉じ込めたDNAやRNAを噴霧状にしてスプレーで吹きかけ、それら外来遺伝子を発現させる技術を開発した。詳細は「ACS Nano」(2022年2月23日)に掲載された。開発したのは理研の環境資源科学研究センター・バイオ高分子研究チームのチョンパラカン・タグンらの研究チーム。噴霧したDNAは、そのDNA由来のタンパク質を産生させたといい、DNAの働きが一時的であることから、遺伝子組み換えのようにゲノムに組み込まれたものではないことが分かる。噴霧したRNAは、そのRNAの働きにより標的遺伝子の働きを抑えたというが、これは、通常行われているRNA干渉法の1つである。〔理化学研究所 2022/2/23〕

●細胞医療
●医薬品としてのデザイナー細胞の開発

 従来の化学物質や遺伝子を用いた医療に加えて、細胞を用いた医療が進むことが予想されることから、治療に用いるためのデザイナー細胞の開発が活発化してきた。これまで細胞医療では、ES細胞やiPS細胞を用いた再生医療が中心だったが、それとは異なり、細胞を人工的に改変して医薬品として用いる。工学的手法で改変した細胞では、がん細胞を破壊するなどが試みられている。〔日経バイオテク・オンライン 2022/3/18〕

●企業動向
●遺伝子操作魚の陸上養殖にバイオフロック方式の開発進む

 環境中に逃げ出した際のリスクが少ないため、遺伝子組み換えやゲノム編集魚の養殖に最適であるとして、陸上養殖の開発へ向けた動きが活発である。中でもコストがかからないバイオフロック方式が注目されている。バイオフロックとは、微生物の塊を養殖池に入れ浮遊させるもので、水流を作り出し酸素供給が必要だが、水の補給の必要はない。しかし懸濁は免れないため、それに耐えうる魚に限定され、現在はティラピアとバナメイエビの養殖が行われている。ゲノム編集魚を開発するリージョナルフィッシュ社は、NTTドコモ、奥村組、岩谷産業とともに、バナメイエビの最適な養殖方法を探る実証実験を開始すると発表し、このバイオフロック方式とゲノム編集技術の開発を担う。

●省庁動向
●医薬品の安全性評価を簡略化する法改正を閣議決定

 3月1日、緊急時における薬事承認を可能にする医薬品医療機器等法の改正案が閣議決定され、今国会で成立する可能性が強まった。これにより、緊急時には第三相の臨床試験を経なくても薬事承認が可能になる。安全性試験の簡略化であり、薬やワクチンの安全性が脅かされかねない決定である。

●生物多様性条約
●生物多様性条約COP15の補助機関会合など開かれる

 中国で開催予定の生物多様性条約締約国会議(COP15)の対面での本会議の開催が遅れていることから、スイス・ジュネーブで、科学技術助言補助機関会合(SBSTTA)、条約実施補助機関会合(SBI)、公開作業部会(OEWG)が開催され、ポスト愛知目標へ向けた新たな目標「ポスト2020生物多様性枠組」の指標の最終案と、その実行を可能にする資源動員や資金メカニズムなどがまとめられた。なお、COP15は中国昆明で7〜9月に開催されることが決まっている。