■2022年8月号

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バイオジャーナル

GM小麦の現在の栽培状況

 

アルゼンチンのバイオセレス社は、開発したGM小麦「HB4」の国内での栽培拡大を進める一方、海外での承認に向けて活動を続けている。まず、食品としての流通の承認を得たが、まだ栽培承認を得ていないオーストラリアで、年内の栽培承認に向けて動いている。

次いで、新たに米国で承認を得るために活動しており、その結果、食品医薬品局(FDA)から、食品としての流通の承認を得たが、まだ農務省(USDA)からの栽培承認は得ていない。このように、今のところアルゼンチン以外での栽培はできない状況にある。 しかし足元のアルゼンチンでも栽培できない状況が訪れようとしている。同国の中心地であり、バイオ企業にとって重要な州であるブエノスアイレス州の裁判所から栽培停止の判決が下されたのである。この裁判は、農民や市民団体、先住民族などが起こしたもので、GM小麦の野外放出は、人間の健康や環境に対して深刻な影響を引き起こす可能性があるとして、作物とそれに用いる農薬の両者を対象に栽培停止を求めたものである。

判決は、州政府がGM小麦を栽培した際の影響を評価すべきであり、評価委員会が設置され、評価が定まるまで栽培を停止する、というものだった。同様の判決は、他の州でも下される可能性がある。もしそのような事態が起きれば、アルゼンチン国内でのGM小麦の栽培は難しくなる、とみられる。〔Reuters 2022/6/27ほか〕