■2022年10月号

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バイオジャーナル

ニュース


●ワクチン
●新型コロナワクチンで特許紛争拡大

 米モデルナ社は8月26日、mRNAワクチンの主要技術の1つ、分解し難いmRNAについて、特許権が侵害されたとしてビオンテック社とファイザー社を訴えた。ファイザー社に関しては米マサチューセッツ州地方裁判所、ビオンテック社に関しては独デュッセルドルフ地方裁判所に訴えた。新型コロナワクチンでは、この分解し難くしたmRNAと、そのmRNAを包む脂質ナノ粒子が重要な役割を果たしており、その2つの技術をめぐって特許紛争が起きている。今回訴訟を起こしたモデルナ社は、今年2月28日に、脂質ナノ粒子をめぐってアルブタス社とゲネバント社から訴えられている(バイオジャーナル2022年5月号参照)。 この2つの技術に関して、分解し難いmRNAの基本特許は米ペンシルベニア大学が、脂質ナノ粒子の基本特許はカナダのブリティッシュコロンビア大学が持っており、両者ともに、さまざまな企業を経由する複雑なライセンス供与が行われており、それが紛争の原因になっているため、今後も紛争は起きると思われる。

●ワクチン研究開発拠点が決まる

 日本医療研究開発機構(AMED)は8月26日、日本におけるワクチン研究開発の拠点を発表した。中心となるフラッグシップ拠点と呼ばれる大学に東京大学(新世代感染症センター)を選定した。また、協力することで研究開発効果を高めるシナジー拠点と呼ばれる大学に北海道大学、千葉大学、大阪大学、長崎大学の4大学を選定し、新型感染症などでのワクチン研究開発の拠点としての役割を求めた。
●北米事情
●QRコードだけのGM食品表示は違法

 米国カリフォルニア州連邦地裁は、QRコードだけのGM食品表示は違法という判決を下した。訴えていたのは消費者団体の食品安全センターで、ナチュラル・グローサーズやピュージェット・コンシューマーズ・コープなどの非営利団体や小売業界の代理で訴えたもの。判決では、スマートフォンでしか見られないような表示も違法とするなど、連邦政府が定めたGM食品表示の違法性が示された。しかし、GMOではなく「バイオエンジニア」表示でよしとしている点に関しては、違法判断をしなかった。〔Center for Foodsafety 2022/9/14〕

●米国立衛生研が武漢ウイルス研究所への助成打ち切り

 米国立衛生研究所(NIH)が、2022年8月に密かに中国の武漢ウイルス研究所への助成を打ち切っていたことが判明した。NIHは、SARSワクチン開発などのために、武漢ウイルス研究所に研究費を助成してきた。それが密かに打ち切られていたのである。武漢ウイルス研究所は新型コロナウイルスの発生源として疑われてきた経緯がある。〔The Disinformation Chronicle 2022/8/30〕
●欧州事情
●EUで大豆バーガーのGM大豆レゲモグロビンの安全性が議論に

 米国インポッシブル・フーズ社の「インポッシブルバーガー」のEUや英国での承認にあたり、GM大豆レゲモグロビンの安全性が問題になっている。大豆レゲモグロビンは、大豆の根にあり、細菌に酸素を送り込んでいる成分で、血液中のミオグロビンが酸素を筋肉細胞内のミトコンドリアに送り込んでいるのと類似の方法を用いて酸素を送り込んでいる。これがインポッシブルバーガーの血液成分に用いられている。この成分自体、食経験がない上に、GM大豆を用いているため、承認にあたって問題になっている。〔GMWatch 2022/9/13〕