■2022年11月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

ニュース


●企業動向
●ゲノム編集大豆のカリクスト社が経営破綻

 ゲノム編集の高オレイン酸大豆を開発し、米国で種子や大豆油を販売してきたカリクスト社の経営が破綻した。同社は、ゲノム編集高繊維小麦も開発しており、米国でのゲノム編集作物の開発を先導してきた。しかし、大豆の販売開始時点から株価の下落が始まり、2022年8月に発表された有価証券報告書では「もはや経営の継続は困難」と結論づけられた。株価は1年前の3.6ドルから20セントへと下落している。〔GMWatch 2022/10/2〕

●コルテバ社が特許支配に乗り出す

 化学企業ダウ・デュポン社から農業部門が分離して発足したコルテバ社が、特許権取得の範囲を拡大し、自然に起きるような変化にまで遺伝子特許を申請している。コルテバ社が申請するゲノム編集関連特許は1430件にのぼり、バイエル社の119件に比べ桁違いに多い。コルテバ社は、ゲノム編集の品種改良は自然界で起こるものと同じであると主張しながら、他方で特許の申請をしており、二枚舌を使っていると環境保護団体のFoE欧州は批判している。〔Friends of the Earth Europe 2022/10/22〕

●コルテバ社がゲノム編集作物規制の国際統一を提起

 ゲノム編集作物開発をめぐり、関連特許を管理しているコルテバ社の動向が注目されている。9月10日に行われた国際シンポジウムで同社は、各国のゲノム編集作物の規制が異なり、実用化に向けたネックとなっているとして、国際統一ルールの重要性を提起した。〔日経バイオテク 2022/9/13〕
●アフリカ事情
●タンザニアがGM作物の輸入監視を強化

 タンザニア農業大臣フセイン・バシェは、隣国のケニアがGM作物の栽培と輸入を承認したことから、その流入の可能性が強まったとして監視を強化すると表明した。2021年1月には元農業大臣アドルフ・ムケンダが、GM作物の試験栽培を停止し、輸入種子の監視強化を発表し、タンザニアの遺伝資源と種子を守ると宣言している。今回は、この決定をさらに強化することにあると見られる。〔The East African 2022/10/6〕

●情報提供がないままGM作物導入のナイジェリア

 2015年以来、ナイジェリアではバイオセーフティ管理庁(NBMA)による承認のもと、20種類のGM作物・食品の輸入が認められてきた。しかし表示が義務付けられていないため、消費者はどれがGM食品か知ることができない。しかもリスク評価も不十分で、情報も提供されていない。かねてより同国の市民団体の母なる地球財団(HOMEF)は批判してきた。加えて、GMであることを知らされないまま、GMササゲ種子がナイジェリア全土の農家に配布されている。さらにアルゼンチンで栽培が進むGM小麦の輸入も許可された。〔Nigerian Tribune 2022/10/6〕
●欧州事情
●英国のゲノム編集食品容認法案への批判強まる

 英国ではゲノム編集作物・食品を容認する法案が準備されているが、そこに「精密な育種」という文字が使われていることに対して批判が強まっている。すでに36の市民団体が連携して「法案の内容を理解している議員がほとんどいない」として撤回を求め、90人の世界の科学者や政策専門家が、この「精密な育種」という文字を用いることを批判した。〔Reaction 2022/9/26〕