■2023年2月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

ニュース


●遺伝子組み換え昆虫
●細胞農業用GMハエの開発

 カナダのバイテク企業のフューチャーフィールズ社は、細胞農業への使用を目指し、牛の成長因子遺伝子をショウジョウバエに組み換えて生成させてきたが、このほど商品化する意向をカナダ政府に通知した。これまで細胞培養の際には牛の胎児の血清が用いられてきたが、食の安全性に問題があるため代替品の開発が進められてきた。しかし、このハエが逃げ出した際に生物多様性に大きな影響が出かねないとして、環境保護団体から懸念の声が出ている。〔GMWatch 2023/1/11〕

●培養肉
●植物由来の細胞培養鶏肉

 細胞培養肉をつくるには、足場とマイクロキャリアと呼ばれる道具が必要である。足場は、文字通り細胞を培養してそれを集積するための土台となるもので、マイクロキャリアは、細胞をつなぎ合わせるための微小粒子である。植物由来の足場やマイクロキャリアを開発してきた、米国オハイオ州にあるマトリクスF.T.(Matrix F.T.)社は、その足場とマイクロキャリアを用いて細胞培養鶏肉を開発したと発表した。〔Foovo 2023/1/10〕
●省庁動向
●フードテック官民協議会が推進計画案を発表

 昨年10月、フードテック官民協議会は「フードテック推進ビジョン」と「ロードマップ案」をまとめ、11月にパブリックコメントを求めた。それを受けて今年2月には正式に推進ビジョンとロードマップがまとめられ、5月の発足を予定している。この協議会は、農水省がフードテックを推進する企業を集めたもので、そこが中心になって作成した。現在、フードテックの中心は代替肉、昆虫食、培養肉だが、実用化に向けて官民一体となって進める姿勢を示したものである。 計画案では、民間企業が中心になって研究や開発を進め、業界団体や研究機関が支援する。政府では農水省が軸になり、経産省、厚労省、消費者庁が支援、表示や規制をどうするかを決めていく。政府は「食料安全保障」の中心にこのフードテックを位置づけ、農水省は「みどりの食料システム戦略」の中でフードテック推進を掲げており、今後積極的に企業を支援していくことになる。